優しさが
アナグラは、お通夜テンションだった。

こういう時こそ明るくいたいのだけど、笑えない。

(あ、そうだ…)

コウタのところに行こう。
そう思い立ってすぐにコウタの部屋の前に来たのだが……。

(迷惑だろうか)

遠慮する心が発動してしまった。

(ってか慰めてほしいとか励ましてほしいとかお願いするのってどうだろう……。かっこわるくないか?)

出会って数日しか一緒にいないやつに割く時間なんてないとか言われたらそれはそれで俺がむしろ死にたくなってしまう。

(だめだ、今すごくマイナス思考……)

諦めて自室に帰ろうとしたらちょうどコウタの部屋の扉が開いた。

「あ、カダーヴル!よかった。心配してたんだよ」

予想外の言葉に俺は暫く静止した。

「……コウタ」

「なに?」

俺は勢いをつけてコウタに抱きつく。

「オレ、オマエ、スキ」

「なんでかたこと!?」

「心配してくれる仲間って素敵だな」

「……」

涙が出てきた。
コウタはそれに気付いたのか落ち着くまで無言で俺の頭を撫でてくれた。

***

「お前のおかげで元気でた。ありがとう!」

「俺……全く何もしてあげられてないけどな」

「コウタは流石、ムードメーカーだな!落ち込んでる人すら笑わせる才能がある」

「なんかそれだと空気読めてない人みたいに聞こえるんですけど……」

「これからもよろしくな、相棒!」

「突然の昇格?!まあ、それだけボケられたら大丈夫だな」

「ああ、もうばっちりだ!」

俺はコウタにお礼を言ってから部屋をとびだす。

とりあえずアラガミを倒して特訓しよう。


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