「……次のミッションはソーマっていう人とか……お?」
集合場所に人影が二つ見えた。
そのうちの片方が俺に気付くと目の前までわざわざやってきてくれた。
この人だろうかソーマさん。
「お、君が例の新人君かい?」
「え、ああ…はい」
「噂は聞いてるよ。僕はエリック。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ」
あ、違った。じゃあ向こうにいる人がソーマさんだろうか。
「君もせいぜい僕を見習って人類のため華麗に戦ってくれたまえよ」
「エリック、上だ!」
「「え?」」
俺は咄嗟に後ろに下がる。
するとエリックと名乗った人がオウガテイルに襲われた。
一瞬のことで目の前で何が起きたかわからなかった。
「ぼーっとするな!」
ソーマ(仮)さんがオウガテイルを斬る。
俺はそれを見ていることしかできなかった。
体が震える。
あんなに可愛いと思っていたオウガテイルが恐ろしく思えた。
「ようこそ クソッたれな職場へ 」
その声とともに俺は我にかえった。
エリックさんは跡形も残らず消えていた。
「俺はソーマ。別に覚えなくていい」
「……」
覚えなくていいとか、そんな寂しい。
色々考えているうちに討伐対象が現れた。
「いくぞルーキー」
「は、はい」
最初にオウガテイルを引き付けてから倒す。
そして次にコクーンメイデンを倒す。
応用みたいなものじゃないか。
だけど……
「……」
トラウマってこういうことだろうか。
手がまだ震えている。
それでも他の犠牲を出さないように俺は戦わなくてはいけない。
自分に言い聞かせて戦う。
ミッションがおわった。
ソーマさんとアナグラへ戻る。
今すごく、精神的にきている。
これからはこんなことが日常茶飯事になるだなんてそんなの嫌だ。
(強くなろう。犠牲を出さないように)
そう心に決めた。