リーシャナレ01『ある日、
私に人生の転機が訪れた。』

ディルカ02「リーシャ。話がある」

リーシャ03「何かな?」

ディルカ04「…お前が助かるかもしれない
方法が見つかった。」

リーシャ05「…え…!?」

ディルカ06「正確に言うと、
お前に合うドナーが見つかったんだ。」

リーシャ07「じゃあ、移植手術…?」

ディルカ08「あぁ…。
だけど、成功率は高いわけじゃない。
失敗するかもしれないし、成功しても
何もないとはいいきれない。
でも、リーシャ。お前は生きたいとは
いわないけど、生きたいと望んでいる…
そうだろ?」

リーシャ09「……バレてましたか」

ディルカ10「俺がどれだけの人を見てきたと
思ってるんだ。分かるさ、それくらい。」

リーシャ11「…そう、だね。
望みは持たないようにしてたから、
ピコにも言ったことないけど…
うん、生きたい…」

リーシャナレ12『私は、ずっと生きたいと
思ってた。でも、生きられないんだと、
そう思っちゃダメなんだとも思っていた。
だからこの時、私は嬉しくて、
素直に、そして確かに生きたいと言った』

ディルカ13「やっと言ったか…
もっと早く言ってくれればよかったのに…
数ヶ月間、俺がどれだけ悩んだか…」

リーシャ14「あはは、うむ!
大義であったよ!ご苦労さま!!」

ディルカ15「はいはい、お姫さま。」

リーシャ16「うっわ、棒読み!!
まぁでもほんとの仕事はこれからだよね。
……手術、よろしくね?」

ディルカ17「……いや、執刀医は俺じゃない」

リーシャ18「え…?ど、どうして?」

ディルカ19「…担当医が執刀しないなんて、
べつに珍しいことじゃないよ。それに……」

リーシャ20「………それに…、なに?」

ディルカ21「その日は、……俺が、……」

リーシャ22「ディルカ先生が?」

ディルカ23「俺が、好きな人と
一緒になる日なんだ…」

リーシャ24「え……」

リーシャナレ25『一瞬、何を言われたのか
分からなかった。でも、考えるまでもなく
当然のことであると整理がつく。
初めから私は、恋愛対象ですらなかった。
それだけだ。』

リーシャ26「そ、…れって、結婚ってこと…?」

ディルカ27「すまない…
でも、もう決まっていたことなんだ…」

リーシャ28「あ、謝らないで!
てか、謝られると私が悪い人みたいじゃん!
…幸せになってよね?」

ディルカ29「……手術は2週間後だ。
お前こそ、絶対に生きて幸せになれよ。」

リーシャ30「そのへんは大丈夫!!
ピコもいるし、毎日楽しいよ、きっと!」

ディルカ31「……そうか。
……そうだ、お前にこれを渡しておく。」

リーシャ32「…?なにこれ、……花?
あんまり、可愛くない花だね…?」

ディルカ33「こういうのは気持ちだろ。
執刀しなくても、俺は立ち会うべきだ。
でも俺は立ち会えないから、その代わり。
……あと、謝罪みたいなものだ。」

リーシャ34「そっかぁ……
じゃあこの花、枯れないようにしないとね。
枯れたら縁起悪いもん。」

ディルカ35「そうだな。
だけどそうでなくても、人からもらう花は
簡単に枯らすものじゃないぞ。」

リーシャ36「わ、わかってるよっ!
てかその言い方だと私が花枯らしてばっか
みたいに聞こえる!これでも私、
長持させる方なんだから!物持ちもいいし!」

ディルカ37「………なら、安心だな…。」


リーシャナレ38『そして私は、手術日を
迎えることになる。
ディルカ先生はこの日、幸せになってる。
だから私も、生きて幸せになると決めた。
手術の時間になり、麻酔を打たれる。
だんだんと意識が薄れ、そして手放す。
そんな中、諦めの悪いことにディルカ先生の
声が聞こえたような気がした。
………私が目覚めるまで、後数時間。』



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