♯歪曲アーク番外編 青く晴れ渡る空、不快感を感じさせない文句無しの気候、天気予報での降水確率は0パーセント。 ――今日は所謂、絶好のお出掛け日和というやつだった。 『ごめん!待たせちゃったみたいで…!』 「いや、俺もさっききたばっかりだし」 『良かった。これでも10分前に着いたつもりだったんだけど…』 「はは、じゃあ俺が早く来すぎちゃったかな?そういえば私服、思ったより可愛いね」 『えっ!そ、そう…かな?変じゃない?』 「似合ってるんじゃない?そういう感じ、割と好きだけど」 よくやったぞ、俺。小春ちゃんも微笑んでる。好感度はバツグン、まずまずのスタートだろ。 内心ガッツポーズをしつつ改めて彼女を上から下まで眺めてみると(言っておくが決してヤラシイ意味ではない)、やっぱり可愛いと思った。 まあぶっちゃけ制服も似合ってるんだけど、普段見ない私服は貴重だし新鮮さがある。 『……折原くんの私服も、その…か、かっこいいと思うよ』 「へ?」 『いいから早く行こ!』 俺は今日という一日を無事耐えきることが出来るのだろうか。開始5分で感じた、なんとも平和ボケした純粋な悩みだった。 ♀♂ グーセンで柄にもなく必死になったり、雑貨店を見て回ったり。それから有名なデートスポットに足を運んで、人様の熱烈なキスシーンに二人で顔を赤くしたりもして。 端から見れば本当にどこにでもいそうなカップルに違いなかった。 『ね、折原くん』 「ん?」 『今日は誘ってくれてありがとね。その、すごく楽しかったです』 「……別に遊ぶくらいどうってことないだろ。ま、小春ちゃんがどうしてもって言うならまた誘ってあげてもいいけど?」 『それじゃあ、また二人で遊ぼう。今度は池袋以外の場所とかさ。ね、約束!』 二人で。そんな些細な言葉に反応してしまうのは、俺がバカだからだろうか。無意識ってやつは本当に怖い。 そう思いながらも、差し出された小さな小指に自分のそれを絡める。繋がれた熱がなんとも言えないもどかしさを生んだ。 夢ならいっそ覚めないで 「っていう夢を見たんだ」 「愛しのセルティは今頃どうしてるかなぁ…、」 「聞けよ!!!」 |