日が延びてきたといっても、まだまだ帰宅する時間には肌寒い今日この頃。白い息をする度にちょっぴり寂しくなった。 「なまえ」 聞き慣れた声を耳に入れ、無意識のうちに緩む頬。それを必至に抑えながら振り返る。 『今日はどうしたの?』 「シズちゃんと追いかけっこしてたらこっちまで来ちゃったんだ」 散々だよ、と肩をすくめる彼の学ランはいつものように汚れてはいなかった。ということは、たぶん嘘。 言えないような用事でもあるのかな。……臨也くんならありうる。 「君こそいつもなら真っ先に教室出て行くのに、こんな時間まで何してたの?」 『進路のことで先生とちょっと話してたんだ』 「ふーん」 『もうすぐ卒業かぁ』 「そうだね。これでシズちゃんとはお別れだと思うと清々するよ」 『桜咲くと良いね。まだまだ寒いけど』 「あ、そうだ」 突然、思い出したようにスクバを漁る臨也くん。いつもはほぼ空も同然のそこから出てきたのは、持ち主には似合わないピンクのマフラーだった。 「これ貸してあげる」 『……大丈夫だよ。それに臨也くんが付ければいいじゃん』 「あのなぁ。一応言っておくけど俺が選んだんじゃないよ?今朝、妹たちが勝手に入れたんだ」 『相変わらず仲が良いね』 「どこが」 なんて憎まれ口を叩きながらも強引に、それを私の首へ巻き付ける。下から見上げる顔は無駄に整ってるわ、女の私より睫毛が長いわ、いろんな意味で心臓に悪い。 「せっかくだから手も繋ごうか」 『いいってば。それにほら、私手冷たいし』 「俺も冷たいから問題ないよ。それに、」 こうしてくっついてれば暖まるしね。そう言って体を寄せられれば、彼の吐息を間近に感じる。 どくり、胸がうるさく鳴る。もしかしたら隣を歩く彼に聞こえてしまうかも知れない。 もしそうなら、私のこの想いも一緒にバレてしまえば良いのに。……なんて思ったけど、やっぱり卒業式までこの気持ちは秘密にしておこう。 あといくつ? (唇が触れるまで3秒) (静雄に見られるまで5秒) 綾音さんリクありがとう!私の文章が好きだなんて言ってもらえてすごく嬉しいです^^ せっかくだから卒業前な感じにしてみたんだけど、どうだっただろうか……(´`;) っていうか冬じゃなくても出来そ、……げふん。でもマフラーで妹たちの話を出せたので大満足! なんというか、マフラー強引に巻いたりとかお互いに冷たい手絡め合ったり、いろいろ私の妄想が混じってます。ごめんさい。 でも最終的にウブなシズちゃんが登場! 「てめっ、ななな何てモン見せてやがる…!」 「人のキスシーン見ておいて文句言うなんて意味分かんないんだけど」 『キ、キ、キスシー…ンっ!?///』 「ちょ、何いまさら照れてんの」 「…………」 「シズちゃんまで真っ赤になってこっち見ないでくれないかな」 という展開が良いと思います。 これからも妄想全開な私とぴーひゃら!をもよろしくお願いします(^p^) [戻る] [TOP] |