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▽教師パロ





高3になって、私はとうとう18歳の誕生日を迎えることとなった。


「今日、誕生日なんだって?」

『折原先生…、』

「随分と暗い顔だねぇ」


せっかく誕生日を迎えても素直に喜べない。先生は一歩大人に近付いたなって笑うけど、私はちっとも嬉しいなんて思えなかった。

先生にも誕生日がきたら元通りになっちゃうでしょ。先生には聞こえないよう、小さく呟いて俯いく。


「おめでとう」

『……ありがとう、ございます』


ほんの少しでも近付けたと思えば、また戻って。どこまで追い掛けても縮まらない距離。そんな堂々巡り。

いつしか先生のことを好きだと自覚し始めた頃には、誕生日が嫌いになってた。


「もっと嬉しそうにしてくれない?」

『自分に嘘はつけないので』

「参ったなぁ」


こっち向いて。不意に握られた手の温もりに顔が火照る。なんで、やめて。

恐る恐る顔を上げると、そこにはいつもより真剣そうな顔の先生。


「もう少しで卒業だね」

『それってどういう、』

「俺は卒業式が楽しみで仕方ないよ」


整った眉、女性に負けず劣らずの綺麗な肌、怪しく光る紅い眼。全てが私の心を掻き乱す。

ニヤリと歪んだ口元。貼り付けたような笑みとは違う、先生らしい表情。


「早く生徒じゃなくなって欲しい」


私の好意を知ったうえで口にしていると、期待しても良いのだろうか。だとしたら、その日が来るまでが少し楽しみな気さえしてきた。

歳の差も、案外悪いものではないのかもしれない。






ゆっくり育てる、
ふたりの愛の芽。

 
 





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