――じゃあさ、かき氷でも奢ってよ。 彼女のそんな一言から一緒に帰ることになってしまった俺たち。これはなんというベタな展開だ。でもまあ、たまにはこんなのも悪くない。 そもそも何故そうなったかも忘れてしまったのだが。隣でなんとも幸せそうにかき氷をつつく小春ちゃんを見ていたら、どうでも良くなった。 『そういえば、』 「ん?」 『折原くんは何で講習受けようと思ったの?』 「何で?俺が受けちゃいけない理由なんて無いと思うけど」 『そういうわけじゃなくて、その…頭良いって、聞いたから』 必要ないんじゃないかと思って。そう言って困ったように笑った彼女。 確かに実際俺の学力的には必要ないのだけれど、夏休みの間のクラスメイト達を観察するのも悪くない。だから来たはず。 「学校って、人間観察をするにはもってこいだろ?」 でも違うのかも知れない、と心のどこかで思う。本当は君に会いたかっただなんて。 きっと言っても信じてもらえないだろう。またそうやって、とからかわれるに違いない。 だから言わない。そんなこと、言えない。俺らしくないだなんて分かってるけど。 『やっぱ折原くんって、よく分からない』 「前に言ったよね?俺は人間を愛してるんだ。もちろんシズちゃん以外の全人類を」 『じゃあ、私もその中に入ってる?』 「……どうだろうね」 自分の口から出た言葉に思わずハッとして我に返る。 何を言ってるんだろう。彼女だって同じ、俺が愛する人間であるというのに。 『そっか、』 少し考えるような仕草を見せた後、消え入るような声で呟いた彼女はなんだか悲しそうな顔をしていた。 それを自分がさせてしまったのだと思うと胸がズキズキと痛む。何やってんだろ、俺。 それは棘のようで |