夕刻、宣言通り家まで迎えに来た折原くんはどうにも不機嫌だった。それはそれは、今まで見たことのないくらいに。 最初はどうなることかと思ったが、それも杞憂に終わったようで胸を撫で下ろす。 仲良くとは決して言い難いが、思い思いの表情でテーブルを囲む光景はなんだか微笑ましい。 「悠木、さっきから何一人でニヤけてんだよ」 こちらもどことなく楽しそうな雰囲気の平和島くん。まあ、あくまで雰囲気であって実際彼がどう思っているかは本人にしか分からないのだが。 声のした右側を振り返って曖昧に少し笑って返すと、彼も笑顔を浮かべた。その表情はとても柔らかい。 「ちょっとシズちゃん何なの。小春ちゃんのことガン見しちゃって気持ち悪い」 「あ゙ぁ!?」 私の左側で実につまらなそうな顔をしながら平和島くんに突っ掛かったのは、言わずもがな折原くんである。 ついさっき視界の端で確認した限りでは、熱心に携帯の液晶画面に向かっていたはずだった。が、どうやら作業が終わって暇を持て余しているようだ。 「あー、怖い怖い。ほんとのこと言っただけなのにねぇ」 「ノミ蟲てめぇマジでぶっ殺す!!」 「おい、お前ら少しは静かに出来ねぇのか」 ここでも安定の母親的ポジションである門田くんのお咎めにより、やっとのこと静まる二人。けれど無言の睨み合いは続く。もちろん私を挟んだ頭上で、だ。 そろそろ我慢の限界かというところでやってきた足音。まるで計ったようなタイミングに、内心こっそり溜息を吐いた。 「みんなお待たせ!準備が出来たよー!」 みんなでしゃぶしゃぶ! |