かしづき給ふ | ナノ

 
 
長い廊下を進み小走りに辿り着いたのは、剣を鍛える鍛錬の際に使うべき道場。訳あって現在、本来とは違った目的で使用されていた。

床一面に並んだ布団。うなされる隊士達を見て回る土方さんたちに報告へ向かうと、彼は「またか」という顔で力無く溜息を零した。


『庭で倒れていた永倉さんと藤堂さんを山崎さんが発見したようです』

「ひでーなオイ。これで何人目だ?」

「えーと…十八人目でさァ」

『もうそんなに?』

「隊士の半分以上がやられちまったわけですね」


ここまでくると薄気味ワリーや、と少し怪訝な顔をしながら呟いた沖田さんに私も小さく頷いた。

ここ最近屯所に立て続けに起きている不可解な事件。残念ながら未だに原因は突き止められておらず、具体的な対応策も出ていないとう状況だ。


「冗談じゃねーぞ。天下の真選組が幽霊にやられてみんな寝込んじまっただなんて。恥ずかしくてどこにも口外できんよ。情けねェ」

『まあまあ。土方さん、そう言わずに』

「トシ…俺は違うぞ。マヨネーズにやられた!」

「余計言えるか」


キリリと音が付きそうな勢いで言い切った近藤さんに、私を含め3人の冷たい視線が突き刺さったのは言うまでもない。
 
 



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