「うーん。粋だねェ」 次々と打ち上がる花火を見上げながら近藤さんが呟く。何も言わない土方さんも、浮かべる表情はどこか穏やかなものだった。 まだ武州にいた頃、5人で少し離れた町まで足を運んだ祭りがとても懐かしく思う。あの人は、元気でやっているだろうか。 『……土方さん、何か騒がしくないですか?』 「あァ?」 『うそ、』 「なッ…!?」 舞台に上がっていたカラクリがこちらへ砲門を向けていると気付いたのが遅かった。 危ねェ!と焦る土方さんの声がしたと思えば視界は白で彩られる。しまった、前が見えない。 「オイ!無事か!?」 『はい、大丈夫です。それより土方さんこそ…』 「俺も何ともねェ。それより…こいつァ煙幕か?混乱に乗じて将軍狙うつもりだな!」 『だとしたら非常にマズい状況ですよ』 「てめーらァ!櫓の周りをかためろォ!!ネズミ一匹寄せ付けるんねーぞ!!」 わあわあと観客達が逃げていく中、徐々に視界が開けてゆく。どうやら他の隊士達も不意打ちを食らったようだったが、誰も怪我をしている様子は見られない。 と、安心したもの束の間。徐々に薄れてく煙幕の中から姿を現したのは、優に2メートルは超えるだろうカラクリの軍団だった。 「優衣、お前は総悟のヤロー探してきてくれ。一人で行けるか?」 『は、はいっ!すぐに戻ります…!』 [*←] [→#] [戻る] [TOP] |