かしづき給ふ | ナノ

 
 
『山崎さーん』

「ん?どうしたの?」


上に向かって先輩の名前を呼べば、思った通り天井裏にいた彼は板を外してひょっこりと顔を出した。

ちなみに何故そこにいるのかという質問は無しだ。以前本人に聞いてみたのだが、企業秘密だと言われたので仕方ない。


『動物って良いと思いますよね』

「うん。いるだけで癒されるしね」

『動物って物凄く可愛いですよね』

「うん。まあ種類にもよるけどね」

『動物って誰もが一度欲しくなりますよね』

「……で、要するに?」

『えっ、や、その…』


にっこりと音が付きそうな程の笑顔で返されてしまい、思わず黙ってしまう。

想定外の展開にあたふたとしていると頭に小さな重み。そのまま優しく撫でられてしまえば大人しく口を開くしかなかった。


『やっぱり、ペット欲しいなぁ…と思って』

「そっかぁ。でも、相変わらず副長は反対なんだろ?」

『はい。もう私だって子供じゃないし、世話くらい自分で出来るのに』


確かに土方さんよりは年下ですけれど、と自分で言って少し悲しくなった。

元々小さい頃から動物が好きだった私は、彼の見回りに付いて行っては街中を散歩する犬を追い掛け回してよく怒られたものだ。

あそこの店の前にいた猫は元気かなぁ、なんて考えていれば山崎さんが閃いたような顔をしてポンと手を叩いた。


「そういえば今日どっかのチャンネルでペット特集か何かやってるはずだよ」

『ぺ、ペット特集!マジですかそれ!!』

「……優衣ちゃん、とりあえず落ち着こっか」
 
 



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