何か手掛かりはないものかと調べて回ったが、どうにも屯所内で特に異常といった異常は見られなかった。 「みんなうわ事のように赤い着物を着た女と言ってるんですが、稲山さんが話してた怪談のアレですかねィ?」 ずず、と淹れたてのお茶を啜った沖田さんが落ち着いた様子で話し始める。 内容はなんとも言えないが彼の表情は真剣そのものであり、残った誰もが思っていても口に出せなかったものだった。 「バカヤロー。幽霊なんざいてたまるか」 「幽霊を甘く見たらとんでもないことになるぞ、トシ。この屋敷は呪われてるんだ」 『近藤さんは少々怯えすぎかと思います』 「ちょ、優衣ちゃん!べべ別に俺は幽霊なんか怖くないからねっ!?」 「嘘はいけねーや」 「総悟まで…!!」 「なにをバカな……、いや…ナイナイ」 心なしか小刻みに震えているようにも見える彼に、呆れたような目で沖田さんが言うのも仕方ない。流石の近藤さんも今回ばかりは少し頼りにはならないようだ。 そんな二人を横目で見やりながらタバコをふかす土方さんの顔が一瞬青ざめたように見えたが、気のせいだっただろうか。 「局長!連れてきました」 「おう山崎。ご苦労!」 「街で捜してきました、拝み屋です」 「どうも」 [*←] [→#] [戻る] [TOP] |