「マヨネーズが足りないんだけどォォ!!!」 「ぎゃふァァアアア!!」 突然耳に飛び込んできた声に思わず肩が跳ね上がる。 が、それが稲山さんのものでなく聞き慣れた声だと気付き後ろを振り返れば、同じように私服に身を包んだ予想通りの人物だった。 『なっ、なんだ…土方さんじゃないですか!脅かさないで下さいよ!?』 「副長ォォォォォ!!なんてことするんですかっ!大事なオチを!!」 「しるかァ!マヨネーズが切れたんだよ!買っとけって言っただろ。焼きそば台無しだろーが!!」 「もう充分かかってるじゃねーか!なんだよそれ!もはや焼きそばじゃねーよ!“黄色い奴”だよ!!」 眉間の皺を更に深くした彼の手元を見れば既に焼きそばが乗っていた。それも尋常じゃない量のマヨネーズがかかった、ほとんど黄色の焼きそば。 いくら彼のマヨラーっぷりに見慣れていると言っても、流石にあればかりは理解しがたいと思った。よく夜食であれだけ食べて太らないものだと感心してしまうほどだ。 「アレ?局長?局長ォォ!!」 「大変だァ!局長がマヨネーズで気絶したぞ!最悪だァァ!!」 「っていうか山崎ィィイ」 「はいいいい!?」 「優衣の肩に手ェ回してんじゃねぞテメェェェェ!!」 「ぎゃあぁぁあぁああ」 先程までの緊張感はどこへやら。さっきまでの静寂がまるで嘘のように騒がしくなった一室を見ながら、そそくさと部屋の隅へと避難。 みんなを遠目に眺めながら苦笑いする原田さんの隣に腰を降ろせば、彼の優しげな拳がぽすりと降ってきた。 『みんな何だかんだ言って、結構楽しそうですよね』 「あぁ…まあ、そうだな」 (今日も屯所は平和です) [*←] [→#] [戻る] [TOP] |