思わずズッコケた眼鏡少年が怒鳴りたくなる気持ちも分かる。 完全に酔いが回ってしまったらしい二人は本当に辛そうで、既に勝負どころではなさそうだった。いや、自業自得だと言われればそれまでなのだけれども。 「心配すんじゃねーよ新八。俺ァまだまだやれる。シロクロはっきりつけよーじゃねーか」 『……坂田さん、そんなこと言ってる割にフラフラですが』 「大丈夫だ、気にすんな。ちょっと視界がぼやけて足元がおぼつかないだけだから」 『それは一般的に考えて大丈夫とは言いません!』 「それはそうと…このまま普通にやってもつまらねー。ここはどーだ。真剣で“斬ってかわしてジャンケンポン”にしねーか?」 「上等だコラ」 口ではそう言いながらも、相変わらず瞳孔は開いているが完全に目が据わっている土方さん。 対する坂田さんの方も大して変わりないのだが、息を荒くしながらヨロヨロと立ち上がる彼は見ているこっちまで辛かった。 「お前さっきから"上等だ"しか言ってねーぞ。俺が言うのもなんだけど大丈夫か!?」 「上等だコラ」 「いくぜ」 『み、みなさん見てないで止めて下さいよ!?』 回りを見渡しても誰も止めに入る様子はなく、むしろ楽しんでいるように見える。山崎さんも腕組んで溜息吐いてるし、原田さんに至っては笑っていて頼りは何処にもいなかった。 というかこの二人、変なところでムキになったりするのが似ていると思ったのは気のせいだろうか。 「「斬ってかわして…」」 『ちょっ、』 「「ジャンケンポン!!」」 「とったアアアア」 『坂田さんッ…!?』 [*←] [→#] [戻る] [TOP] |