「あー、なんだか今夜は冷え込むな…」 『……あの、土方さん?』 「薪をもっと焚け、総悟」 「はいよっ!」 「むごォォォォォ!!」 流石にそれはマズいのではないか。本当にカエルの丸焼きになってしまっては責任どうこう以前に色々と嫌だ。気持ち悪いと思う。 当然の如く当の本人であるカエルも結構本気で焦り始めていた。それでも二人は止める様子もない。ただの鬼畜だ。拷問だ。 「もぐらっはめっそ、…っ!」 「天誅ぅぅぅ!奸賊めェェ!成敗に参った!!」 『っ、攘夷浪士!』 「どけェ幕府の犬ども。貴様ら如きにわか侍が真の侍に勝てると思うてか」 「おいでなすった」 「派手にいくとしよーや」 高官の頬(ではないかと思われるあたり)を何かが掠めた次の瞬間には、天誅という声と共に破られた屯所の門。 タイミングが良いやら悪いやらよく分からないが、こうなったらやるしかない。そう思って沖田さんや土方さんに習って自分も剣を抜いた。 「まったく喧嘩っ早い奴等よ」 『近藤さん!?』 「3人に遅れをとるな!バカガエルを護れェェェ!!」 本人を前にそんなこと言ってしまって大丈夫かとも考えたが、この方が近藤さんらしいと思う。 包帯を巻きながらも元気そうな彼を見て少し気分が軽くなった私は、既に戦闘を始めた他の隊士たちを見ながら小さく笑った。 (貴方がいれば) [*←] [→#] [戻る] [TOP] |