神様、どうか今日こそ平和な一日を送らせて下さい。 そう切に願いながら重い気持ちでドアに手を掛けた。 「やあ、おはよう」 開けたばかりのドアを静かにバタリ、と閉める。 「ちょっと小春ちゃん!無言で閉めないでよ」 何でこうなる。いや待て、とりあえず落ち着くんだ私。 昨日、静雄くんに追い掛けられていく折原くんの後ろ姿を見送った。 それは確かなはずだ。 『ねぇ折原くん。何で知ってるの私んち』 「あぁ、シズちゃんを撒いたあと特に用事もないし、暇だったから」 『暇だったら私の住所勝手に調べて良いの?』 「いいじゃない。俺たちの仲なんだからさぁ」 日本はこんなんで大丈夫なのか、とドア越しの折原くんの笑い声を聞きながら考えてみる。 でも、もう知られちゃったからには仕方がない。そう思って意を決してノブに手を掛けた。 『もういい降参す、』 「ぶっ」 『……ん?折原くん?』 勢いよく開け放ったドアは彼の顔面に直撃したらしい。 「ハハ、まさかこのタイミングで開けてくれるとは思ってなかったよ」 『うん、それはごめんね。大丈夫?』 「ほんと君は見てて飽きないよ。これだから人ラブ!俺は人間が好きだ!愛してる!」 『…………頭も打った?』 よく分からない決め台詞のようなものを叫びながら少し鼻血を出す姿は、なんとも言えぬ強烈さがあった。 『そういえば何で学ランなの?』 「あぁ、これ?」 来神は基本自由だから特に咎められることもないのだろうけど、ブレザーがあるのにわざわざ選ぶなんて。 もしかして思い入れのある物なのかな。中学時代の思い出が詰まってるから捨てられないとか。 それとも親戚の形見だったりして。……どうしよう、嫌なこと聞いちゃったかな。 「だって、こっちの方が俺に似合うでしょ?」 『へえ。そっか』 折原くんにまともな回答を期待した私がバカだったよ。 早起きはストーカー避け? (明日から早起きしよう) |