【君は、新羅の友達なのか?】 私は今、非常に困惑していた。目覚めたばかりの覚醒しきらない頭をフル回転させ、必死に最善の選択を探し出す。 生憎、折原くんのように上手く立ち回ったりする事の出来ない私にとっては本当に難しいことだと思った。 そうして辿り着いた結果は全くもって大したものではなかったのだけれど。要するに、かえって自分の頭の残念さを改めて確認させられただけだ。 『その、彼とは、友達の友達から友達になりまして…あ、いや、その友達っていうのは友達というより一方的に付きまとわれ…あ、そんなこと聞いてませんよね、ええと…だから、その、』 【別に焦らなくても良いんだ、ゆっくり話してくれ】 『……か、彼とは良き友達としてお付き合いさせて頂いております!』 【そうか】 とりあえず、良かった、のかな?……よし、別に何も嘘とか吐いてない。私は正直に話した。問題ないよね、うん。 ちらりと視線を上げてみたが、フルフェイスのヘルメットからは表情なんてものは分からなかった。 『あのー…』 【いつも新羅が迷惑かけてごめんね】 『えっ、あ、いや、そんなことないですよ…!』 まさか謝られるなんて思っていなかった私は思いきりどもってしまった。恥ずかしい。 セルティさんは口の辺りに手を当ててクスクスと笑うような仕草を見せてから、小さく首を横に振った。 【気を遣わなくていいんだ。アイツがああなのはいつものことだから、学校でも大変だろう?】 『大変っていうか…でも、みんなでいるのは何だかんだ言って楽しい、ので』 【そう言ってもらえると何だか嬉しいよ。ありがとう】 ありがとう、と書かれた液晶画面をしばらくじっと見つめる。何故だろうか、ただの文字が温かみを帯びているように感じた。 あたたかい彼女 (岸谷くんがベタ惚れなの) (少し分かった気がする) |