『ねぇみんな、そろそろ本気で勉強しようよ』 「や、もうちょいだけ」 「えー…あ、そうだ。小春ちゃんも一緒にやれば?」 「ちょっと待って!もう少しで二人に勝てるんだ!しかしこのゲーム失敗だと思ってたけど、大人数だと感興籠絡だね」 ようやく一段落ついたところでストップを掛けた私に、3人の非難の目が向けられた。そして三者三様の文句が飛び交う。これまで口を出さなかっただけ感謝して頂きたいくらいだというのに。 そんな私達を横目に門田くんは痺れを切らしたように大きく溜息を吐いてから、改めて口を開いた。 「勉強会するから来いっつっといて、自分達はゲームか」 「じゃあ門田もやるか?」 「あのなぁ静雄、俺はそういうことを言ってるんじゃねぇよ」 「じゃあドタチン帰る?アレがどうなっても知らないけど」 「え、アレ?何の話?」 「新羅は黙っとけ」 相変わらずの悪人面で微笑み掛ける折原くんに門田くんが頬を引きつらせる。 他人事のように思っていると今度は私の方を向いた彼に思わず苦笑いで返してしまった。いや、だって相手が相手なのだから仕方ないじゃないか。 『……あ、そうだ』 「んぁ?どうした悠木」 『勉強しないなら私もう帰るよ』 「はぁッ…!?」 急に立ち上がった折原くんに流石の岸谷くんも驚いたのか、後ずさりするのが見えた。その更に隣の平和島くんは、珍しく彼を見上げたままポカンとしている。 ハッとした折原くんが気まずそうな顔で何でもない、と言うまで暫しの沈黙。 「いや、ほら、せっかくだから勉強しようかみんな!」 「急にどうしたの臨也」 「うるさいな何でも良いだろ早くやるぞ野郎共!」 『……折原くんが壊れた』 数十秒後、弾かれたように音を取り戻したリビングには思い思いの色が広がっていた。 何か閃いたような顔をしてお腹を抱えて笑い出したのは岸谷くん。隣で黙っていた門田くんもクツクツと、口を覆いながら堪えるような仕草をし始める。 後に残ったのは、耳まで真っ赤になりながら震える折原くんと首を傾げる平和島くん、それから私だった。 君は、知らない (……折原くん?) (な、なんだよ) (なんか、大丈夫?) (っ、…別に!) あのね、僕ね、バカにされて真っ赤になる臨也が書きたかったんだ…! おうちで勉強会編?はこれで終わりですが、また後日をお楽しみに^^ |