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『…寒い』



ある冷えきった冬の夕方。


なまえは四畳半の殺風景な自室に戻り、ガチガチと僅かに歯を鳴らして震えていた。





それもそのはず、悲しいことにこの部屋にはエアコンが無い。


ある暖房器具と言えば、今は押し入れに収納されている和式布団一式のみである。




そもそもこの部屋は来客時に使う為に用意された小部屋で、後からくっ付けられたものらしく水道やガス等は通っていない。


近年制定された男女雇用機会ナントカ法とやらのおかげで念願の真選組女隊士になれたわけだが、近くに家がないからと、副長に空き部屋を案内され、ありがたく貸してもらったのだが。


それがまさかこんな地獄部屋とは思わなかった。



『ちくしょー、レディをこんな隅部屋に追いやりやがって…夏はまだ食堂にある扇風機借りれたからどうにかなったけどさ』



唇を青く染めながらぶつぶつと文句を呟くがそれで暖まるはずもなく。


辺りを見回してふと見当たった団扇に訳もなく腹が立った。




『あーもー寒い!寒い寒い寒い寒いっ!』


「…何やってんでィ」


『あ、沖田隊長』



自暴自棄になって叫んでると、いつの間にか空いた襖の向こうに私服姿の沖田が立っていた。






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