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『テレビ見えない!隊長どいてェェ!』


「嫌でィ」



こたつの反対側にあるテレビをなんとかして見ようとするなまえだが、右に頭を移動すれば沖田も移動し、左に頭を移動すればすかさずまたブロックされてしまう。




なまえは軽くキレた。



『ふんがァァァ!そこをどけ沖田隊長ォォ!!お通ちゃんが見えないでしょーが!何度も何度も邪魔しやがってしつけーんだよ、反抗期ですかコノヤロー!!』


「反抗期なんて失礼な。俺は俺の中のドSの本能に従ってるだけでさァ」



すっくと立ち上がり、怒りながら右、左、右と頑張って体を動かすも、沖田は飽きることなく敏捷にその動きについてくる。


ムカつくことこの上ない邪魔の仕方である。




我慢の限界に達したのか、なまえはついに腰の刀を抜いた。



『くそっこうなったら力ずくでもテレビ見てやるわァァ!!隊長、私と勝負だコンチクショー!!お通ちゃんは私が守りますっ!!』


「俺に喧嘩を売るたァ上等じゃねーか。買ってやるぜィ!」



そして沖田も、腰の愛刀菊一文字を鞘からスラリと抜き、なんとも好戦的な笑みを浮かべた。


双方とも、地味に本気である。


ただでさえ強い一番隊隊長の沖田と、女性とはいえその一番隊隊員候補のなまえが屋内で戦いを始めればどうなるかは目に見えている。





これはヤバい。


そう直感した山崎はあわててこたつから出て立ち上がり、二人を止めに入ろうと試みた。



「沖田さんなまえちゃん、落ち着…」




だが。




「『うるせェ邪魔すんな!!』」


「ぐふぁっっ!!」




ガシャアァァァン!!






注意は全く逆効果。


山崎は二人のパンチをもろに顔面に食らい、障子を突き抜け庭へ吹っ飛んだ。







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