宝物 | ナノ

「だーもォうるっせェェェェ!!」



その音に、こたつで一人、沖田となまえが飲んでしまった茶の代わりにマヨネーズをすすっていた土方が大声を上げた。


土方によってこたつ机はひっくり返され、湯飲みやみかんの皮が畳の上に散乱した。




「さっきから黙って我慢してりゃ何なんだてめーらは!うるせーんだよ静かにしろバカ!!」



と、土方は早口でまくし立てた。


その最後の一言に、二人の土方を見る目付きが冷たくなる。



『今バカって言ったなァァ!バカって言ったなァァバカ!!』


「バカって言う方がバカなんでィ、バカマヨネーズ!」


「なんだとォォ!!」



揃って反論する二人に土方も大声で応戦する。





もう三人を止める役目の人間はいない。


そして、ついに土方までもが抜刀した。




「上等だ…てめーらマヨネーズをバカにする奴は全員、俺が粛清してやらァァ!!」


「かかってこいバカマヨ、副長の座は俺のもんでィ!!」


『お通ちゃんは私のものォォ!!』



それぞれ台詞を言った後、三人は刀を手に足を踏み込んだ。



「「『うおおォォォォ!!』」」














「…いやー、それにしても今日は寒いなァとっつぁん」


「だなァ」



一方、近藤は松平を屯所の玄関まで向かえにいき、そのまま一緒に局長室へと足を向けていた。


玄関前で話が弾んだもののここでは寒いだろうと言うことで、暖まっている自室へ行こうとなったのである。



「近藤ォ、トシと総悟は元気か?」



松平が煙草を加えながら言った。



「もちろん元気さ、最近入ったなまえとも仲良くしてるしな!」


「あァ、なまえちゃんねェ。そりゃ楽しみだ」



はははと笑い声を混じらせながら廊下を歩いていくと、すぐ局長室前の庭と縁側が見えてきた。



近藤は冷えた手を擦りながら、庭には目もくれず部屋を覗く。



「おーい、トシ総悟なまえ、戻ったぞ!仲良くして…」



しかし。



「「『うおおォォォ!!』」」


「え」



ドカァァァッ!!



「ぐはっっ!!」




近藤は未だに暴れていた三人に巻き込まれ、鳩尾にパンチを食らって庭に吹っ飛び、気絶したままの山崎の上に落とされた。


見事なまきぞいを食らった二人はぴくりともしない。




『隊長、なんか暖かくなってきました!!』


「俺もでさ!」


「本当だ、寒くねェ」




ハァハァと肩で息をする三人は顔色がよく血色もよい。


滅茶苦茶に暴れ回っている内に、身体がぽかぽかと暖まってきたのである。




「よし、じゃあもう一勝負でィ!!」


「望むところだ!!」


『行きますよォォ!!』



こうして、何故か乱闘ならぬ笑顔の鬼ごっこが始まった。






「…元気でいいねェ、若いもんは」



それを廊下の端で見ていた松平は、煙草を加えた口元に満足そうな笑みを浮かべたのであった。







end



緋色様から相互記念でリクエストさせていただいちゃいました!

もう読みながらニッコニッコしてました、画面の前で。もちろん一人で(危ない)……ふはははは!

それはさておき、素敵なお話ありがとうございました。まだまだ未熟者ですが何卒よろしくお願いします^^

 
 
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