「しかしまあ、一番大切な俺を忘れるとはナマエも良い度胸してるよねぇ」 『え、いや、あの、そんなこと言われても』 「だいたいさ!愛する折原臨也の記憶をなくしながらあの脳味噌筋肉バカのことは覚えてるとか!一体何の嫌がらせだよ!!」 『ちょっと臨也落ち着いて』 どうやら私が記憶喪失に陥っている間、彼は相当耐えていたらしい。日に日にエスカレートしていく愚痴は次から次へと溢れてきて、数日経った今でも未だに止まるところをしらない。 何もそこまで我慢することもないんじゃないかとも思ったのだが、臨也の性格からして途中で投げることをしなかったのではなく、出来なかったんだろう。 まあ、これがもし彼の言う“趣味”の一環で、ネットで適当に引っ掛けた赤の他人を相手にやっていれば2、3日で飽きてしまったのだろうけど。 「……要するにアナタ、嫉妬してたんでしょう」 「は?この俺が嫉妬?馬鹿なこと言わないでくれるかな」 「あら。無自覚だったのね」 「波江、いい加減にしてくれない?俺は嫉妬なんかしてないっつーの」 ムキになるところがまた可愛いなぁ、なんて。本人に言ったら確実に怒られるだろうから口には出さないけど。 何はともあれ、またこうして波江さんを交えて三人で過ごせて良かった。 もちろん臨也と二人きりでいるのも好きだ。でも、三人でいるときにはまた違った温かさを感じる。まるで、家族のような心地よいぬくもりなのだ。 「ナマエもほんと苦労するわね」 『……いえ、もう慣れちゃいましたから』 「おい!」 12_0313 ← |