跡「何だよ音楽室なんか来て。もしかして俺様に歌ってほしいってか?」 日「いや、いいです。今日は座っててください」 今日に限らず普段から大人しくしてほしいけど。 跡「アーン?じゃあ何だよ」 鳳「まあまあ、今すぐ始まりますから」 ヒョコッと現れたのは何故かユニフォームに着替えた鳳と、その後ろには同じくユニフォームを着た忍足さん。 まさかこの二人、このまま演奏するのか!? 忍「お前の誕生日やから特別に俺様が歌うで!」 跡「何でテメェが俺様の真似してんだこの伊達眼鏡」 忍「アーン?」 跡「アーン?だ。発音が違え。 まだまだだな」 忍「いや、自分かてそれ越前くんやろ」 鳳「あ、あの…始めてもいいですか…?」 多分、この場にいるみんな同じことを思っているだろう。 テンション高い。高すぎて気持ち悪い。 そんな跡部さんに引いていたら、鳳が演奏を始めた。 ん?これ、どっかで聞いたこと… 忍「跡部、よう聞けや?忍足侑士が歌うでー! …"チャームポイントは伊達眼鏡"!」 やっぱりいいい!! やばい、これめちゃくちゃ面白いぞ! 歌詞が伊達眼鏡とか眼鏡に変わってやがる。 しかも一番面白いのは、この曲をピアノで平然と演奏している鳳だ。 何で笑わないんだ……俺の横の向日さんと滝さんなんか腹抱えてまで笑ってるのに。 忍「ちゃあむポイントは伊達眼鏡〜危険な眼鏡〜」 跡「………」 まさかな選曲に固まる跡部さん。 気絶していないことを祈りながら、俺たちは音楽室からこっそり出た。 ──────────── 忍「どうや?俺様の美声に酔うたらえぇやん?」 跡「お、忍足、てめぇ……!」 忍「景ちゃん俺な、ずっと言いたかったことあるんよ」 跡「気持ち悪ぃ!こっち向いてそんな台詞吐くな!」 忍「そない照れることあらへんやん」 今、チャームポイントは伊達眼鏡が終わり、次の曲に移るまでの間、忍足さんに繋いでもらっている。 次は正直、俺も歌いたい。 けど人数的に無理だし、やっぱりあの曲をピアノで弾いたらすごく感動すると思った。 ────俺、一生懸命演奏するから、みんなよろしく頼んだよ。 さあ、跡部さん。 俺たちの歌に酔ってくださいね。 ──────────── 跡「なんだお前ら揃いも揃って」 跡部さんが言う通り、俺たちは揃いも揃ってユニフォーム。 まあ、やっぱりこっちの方がきまるんじゃないかという忍足さんの提案だ。 跡「まさか今度はお前らで俺様の曲を歌うんじゃ…」 滝「そのまさかだよ」 宍「最後まで黙って聞いとけよ!」 二人の言葉を合図に、俺が指を鳴らしリズムをとった。 日「Dear Prince 会いにいくよ」 忍「Dear Prince 理由はいらない」 樺「Dear Prince 頑張ってる」 滝「Dear Prince トコロが大好きさ」 『君が勝てるまで 見ててあげるから』 この曲を選んだのは、俺だ。 氷帝に、いや跡部さんにピッタリの曲だと思った。 意外にもみんな賛成してくれて、何回も練習した。 まあ、氷帝で歌ってるの跡部さんだけだし結構手こずったりもした。 けど 俺は結局、貴方のその嬉しそうな顔が見たかったんだと思う。 跡「なかなか、粋なことしてくれんじゃねーの」 歌い終わった後の彼は、今までにないくらいの笑顔だった。 そして樺地と芥川さんから、跡部家で開かれるであろう盛大なパーティー用の衣装。 宍戸さんからは一ヶ月間、付き人券が贈られた。 (悩んだ末に"付き人"という名目で自分をプレゼントしたらしい。) そのあとは、丸井さんが協力してくれたおかげで出来たケーキをみんなで食べた。 いつもは有名なパティシエに作らせるらしいけど、庶民のケーキも案外美味いと言いながらめちゃくちゃ食べてた。 日「跡部さん」 跡「んだよ」 日「…おめでとうございます」 跡「あぁ、ありがとうな」 日「俺の誕生日、期待してますよ」 氷帝のキングは任せろ、と呟き俺の頭をポンポンっと叩いた。 日「俺はもう、こんな面倒くさいことは二度としませんからね」 みんなの元へと先に行った跡部さんの背中に、聞こえないくらいの声で言った。 この計画をたてたのは誰でもない、俺だ。 中学最後の貴方へ、俺からの最高プレゼントです。 受け取れない、なんて言わせませんからね? 終わり ----------------------- 無駄に長い跡部誕小説に付き合っていただき、ありがとうございました! 結局は全部日吉が計画をたててたっていうオチです。 無理やり終わらせた感満載ですみません;; とにかく、跡部様!お誕生日おめでとうございます!! これからも貴方の美技に酔わせていただきます´`* 111004 因みに、Dear Prince〜の配役はこちらです。 みんな歌わせられなくてごめんね! リョーマ 岳人 手塚 忍足 真田 樺地 幸村 ジロー 白石 宍戸 木手 滝 跡部 日吉 |