日「跡部さん」


跡「いねー」


日「跡部さん」


跡「いねーよ」


日「あと跡「いねーつってんだろ」












こ の 自 己 中 が !





生徒会室に籠っている跡部さんを何故か連れ出す役目を負わされた可哀想な俺。



扉ぶっこわすうぃる。



日「跡部さん、子供みたいなことはやめてください。
早く出てこないとこの扉を壊しますよ」




跡「………キノコ」



日「は…?」



なんだ、今キノコとか聞こえた気がする。

気のせいか?



跡「さっさとどっか行けよ、キノコ頭」



ブチッ



日「いい加減にしてくださいこの…アホ部長!」



ドカアアアン!!!バキバキッ!!



跡「な、日吉テメェ!その扉がいくらするか知って…」


日「知りません。いいから来てください」



何故俺がこんな無駄にイラつきながらこの人を連れてこなければならなかったのか。


まぁ、それにはちゃんとした理由がある。



最近、この人の誕生日の準備をするために、俺たちレギュラーは部活後には直ぐ様帰っていた。

それで、そんな態度の俺たちに拗ねたこのアホが生徒会室に籠城(未遂)したのだ。



(全く…手のかかる部長だ)


こんな人のためにみんなわざわざ早起きしてまで準備をしたと言うのに。
俺なんか朝稽古抜きだぞ。ふざけるな。



跡「おい日吉、どこ行くんだよ」


日「俺たちはテニス部ですよ」



俺はズカズカと部室の前まで跡部さんを連れてきた。


跡「まったく、なんだってんだ…」


日「黙って入ってください」



先に扉を開け、すぐに跡部さんに入ってもらった。




「「「「「「「ハッピーバースデー!」」」」」」」




パーーンッ!



跡部さんが入るなりクラッカーの音が鳴り響く。



跡「………っ」




おめでとうの言葉とクラッカー、そして綺麗に飾り付けられた部室。

部室に飾り付けをする許可を出してくれたのは驚くことに、あの榊監督だった。

あの人なりの祝い方なのだろう。

そしてその甲斐があってか、一瞬にして不機嫌だったのが吹っ飛んだらさい。


こんな呆けた顔を生きている内に見れるなんて思ってもいなかった。

とりあえず写メっとくか。


慈「わ〜跡部ぇ、驚いてるC!」


跡「お、い…ジロー!」


岳「あ!ジロー、てめぇ狡ぃぞ!」


突っ立ったままの彼に抱きつく芥川さんに続き、向日さんもまでもが。

若干のノミムシ状態に困る跡部さんにアイコンタクトをしたのは滝さん。


滝「さ、ジローも岳人も離れて。跡部が座れないよ」

「「はーい!」」


宍「保育園か、ここは…」


宍戸さんは苦笑いをしながらも、跡部さんをソファに座らせた。


宍「跡部、その…おめでとうな」


少し照れながらも祝いの言葉を改めて贈る宍戸さんは本当に見ていて面白い。

鳳がこの場にいたら泣いて、更に面白かっただろうに。

(因みに、鳳は今忍足さんと演奏の準備中だ。)


跡「宍戸…」

宍「あ、跡部…」



え?なんだこの雰囲気。

ちょっとおかしいことになってないか?妙にあの二人の空間だけ甘いような…


辺りを見たら、滝さんと樺地が芥川さんと向日さんの目を塞いでいた。

おい、誰か俺の目も塞いでくれ。


ピリリ〜ン♪



日「あ」


この変な空気を壊してくれたのは、俺の携帯だった。

よかった。これはきっと演奏の準備が整った合図だ!



日「さあ、移動しましょう。
本当、早いとこちゃっちゃと移動しましょう」


俺は全員を無理矢理部室から追い出し、音楽室に向かった。


っていうか、音楽室に行くのも気が引ける……