『小石川さん』 『なんやー?』 『さっき言ってた新しいネット持ってきました』 『あぁ、ほならそれロッカーの上に置いとき』 『…はい』 『…届く?』 『すんません』 『ええよええよ。俺が適当にロッカーとか言うたんが悪いし。それ貸しい』 財前から持っていた新しいネットを受けとり、ロッカーの上に置く。 『あ、持ってきてくれておおきに。財前はホンマによう働くなぁ』 『…っ、いや別に』 『はははっ!照れんな照れんな』 『〜〜〜っ!』 頭をポンポン、と軽く叩かれた財前が耳まで真っ赤にしている。 彼のこんな姿は珍しい。 (写真撮りてぇぇぇえ!!) 部室の外から窓を通してそんな二人の様子を見ていた俺、浪花のスピードスターこと忍足謙也です。 もうっ、別に羨ましいとかそんなことないんだからな! あのツンツンツンツンツンデレな財前が唯一小石川だけにデレるのが悔しいとか思ってないんだからな! 前々から噂は聞いていたけど、まさかあそこまでとは…ホンマにどないしたらええんや小石川… 「謙也?」 「っ!?し、白石、しーっ!」 「し〜ばっか言うとってよう分からんけど、とりあえず小声ならええ?」 「おん…てか白石、あれ見てみ!」 突如として現れた白石にとりあえず、あの財前のデレ具合を見てもらいたくて必死に部室を指差す。 『そういや最近、よう財前と話すようになったな』 『!…そうッスね』 『俺基本、おるかおらんか分からへんやん?せやから後輩と話すこととかホンマ少ないねん』 笑顔で語る小石川に、こちらも胸が締め付けられる。 あんな長身でインパクトやばい髪型なのにな…… そう思ったのは俺だけじゃなかったらしい。 隣にいる白石の頬を涙が静かに伝っていた。 『そ、そないなことあらへん!』 突然、財前が声を張り上げた。 俺も小石川もビックリして一瞬動きが止まった。白石は依然として泣き続けている。 『小石川さんは、背も高いし、優しいし、後輩想いやし、髪型もめっちゃイカしとります』 『財前…』 (いや…髪型は、どうかなぁ。) 一メートル程の距離なのに、明らかに俺たちと二人では世界が違う。 もう何か…アレなんだな、あいつら。 真反対かと思いきや、反対すぎてむしろ同じ。みたいな。 「財前、実はあいつめっちゃええ奴なんやな…俺感動してもうた」 「うーん…何かそれもそれでちゃうやろ」 財前のあの感じは、俺が思う限りかなりマジだろう。 かなりマジで小石川のことをリスペクトしているのだろう。 『小石川さん、俺…』 『ん?』 『俺、小石川さんのこと好きなんス』 『え?』 (ええぇぇぇぇ!!?) 誰だよリスペクトしてるとか言った奴!俺だよ! でも、え、ええぇぇぇぇー!!? 「やっぱりな…」 「やっぱりなって、白石自分気づいとったんか…?」 「なんとなくやけど…あの赤面は尋常やないなぁ、と」 『…財前、おおきに。俺もお前みたいに優しいやつ好きやで』 『えぇ!?』 『よーし、こうなったら俺も財前にとってカッコ良え先輩でおらなな!』 『え゛…』 『ホンマおおきに、財前!元気出たわ』 ニコニコと笑う小石川の横で赤面MAXな財前を眺めながら、さっきの会話を何度も頭の中でリピートする。 何を言うべきか分からない俺を見て、白石が先に口を開いてくれた。 「あー…これって、小石川が鈍感すぎてなパターン?」 「せ、せやな…」 「鈍感やから、財前のデレにも気づかへんかったんや」 「小石川あいつ…」 「財前にあないな顔させるなんて…」 「「恐ろしい子!」」 130104 遅くなってしまい申し訳ありません。 真白さま、この度はリクエストありがとうございました! そして、小石川(我が天使)のリクエストをしてくださるなんて、もう真白さまも我が天使!です! しかも小石川と財前という、何とも私のツボをど真ん中な内容で… 更にはそんな二人を見守り隊(あれ、違う?)に3-2を推していらっしゃって(泣) 結果としてカオスな感じになってしまいましたが、少しでも真白さまの楽しめるお話になれば、と思っています。 それでは、これからもP-Rをよろしくお願いします☆ ※お持ち帰りはご本人様のみ可能です。 |