『あなたは外国人に絡まれたらどうしますか?』




俺は咄嗟に、道行く見知らぬ人々を片っ端からそう問いただしたかった。

でもみんな、困っている俺をスルーして歩いていく。
こんなにも世の中は、社会は俺に冷たいのか。


しかし、明らかに道を訪ねたそうにして目の前で懸命に日本語を選ぼうとしているマイク(今俺がそう名付けた)を、俺は見捨てることができない。助けてやりたい。
でも究極な人見知りと、外見からは分からないまさかのシャイな性格なせいで、さっきから一言も発していない。

こんな俺に、マイクは失望しているだろうか。

人目も気にせずチャラけてるっぽい俺にわざわざ声をかけたって言うのに、実は恥ずかしがり屋で、初めましてな人とは全く話せない俺を、マイクは恨むだろうか。

あー、こんなことなら石●遼くんオススメのスピー●ラーニ●グでもやっとけば良かった。
そうすればマイク(俺が勝手に名付けた)もこんなところで無駄に時間喰ってないだろうに。



「あのー」

「あ?」



この期に及んで、いっぱいいっぱいな俺にわざわざ話しかけてくる奴が現れた。

(悪いけど今はマイクのことで頭いっぱいやねん…!)


「自分財前くん、やんな?」

「………………………せやけど」

「やっぱり!まさかのピアスで分かってしもうたわ〜」


誰だこの胡散臭い眼鏡野郎は。

何で俺の名前知っているんだ。

怪しげな男をジッと睨んでいたらソイツがサッとマイクの方へ寄り、何か話し始めた。


(え、え…英語ペラッペラやん…)

ちゃんと聞き取れなかったが、どうやらマイクに道案内をしている様だ。


最後にマイクがめっちゃ発音良く「Thank you!」と言ってから去っていった。

この場に残された俺と親切な変人眼鏡の間には良く分からない空気が流れる。

眼鏡さんは何も言わずにニコニコして見られているだけで、俺は素直に感謝出来ない状況にいる。


「ほ、ほなおおきに!」

「あ、ちょお待ってぇな財前くん!」


こうなったら逃げるしかないと思い、素早くお礼を言ってから全力で人混みを掻き分けながら走って逃げた。




………はずなのに。


「ホンマ待って、財前くん!」


(おえええ!?むっちゃ追いかけてきとる!!)


狭くて入りくんだ、細い道をわざわざ選んで逃げたって眼鏡さんは余裕で俺についてくる。


(何やねん、ホンマに…あっ)


「…チッ」


後ろを気にしながら一心不乱に走っていたせいで、気がついたら目の前は行き止まり。

コンクリートの塀を越えようにも、もう捕まってしまうる距離まで近づいている。


…どないしよう。




「はぁ…元気やなぁ自分」

「…っ、アンタ誰や」

「あれ?謙也から聞いてへんの?」
「謙也くん?」



この人はどうやら謙也くんの知り合いらしい。
見たことないから、四天宝寺の人じゃない…とは思う。



「その調子じゃ何も言うとらんな、あのアホ…」

「??」

「あぁ、自己紹介しとかなアカンな。
俺は謙也の従兄弟の忍足侑士や」

「謙也くんの従兄弟……って、東京におる?」

「せやで。俺いま里帰り中やねん」

「はあ…で、俺を見つけたと」

「まあそんなとこ。あ、これから謙也ん家行くんやけど財前くんもどや?」

「俺も謙也くん家行くつもりやったし」

「ほーか!なら、行こか」



こうして俺は、中学生にしては妙に大人っぽくて不思議な雰囲気の忍足さんと一緒に謙也くんの家に向かった。











「……てなことがあったんスよ」

「まずお前のテンパり具合が爆笑モンやな。何故そんな走った」

「ホンマやでぇ。これも全部謙也のせいやけどな」

「せやせやー」

「なっ…ムカつくな自分ら…」

「ぷっ…」

プンプンしながらお茶を飲み干した謙也くんを見て、忍足さんが吹き出す。

「お前頭に血ぃのぼったらお茶一気に飲むクセ、まだなおっとらんの?ウケる」

「はぁ?」


…なんか、この二人が揃えば退屈しないかもしれない。


二人の終わらないやりとりを写メに収めつつ、ブログの更新ページを開いた。







121226



木葉様、この度はリクエストありがとうございました!

遅くなって申し訳ありません。


管理人の力不足で、リクエスト内容とは少々違うところがあるかもしれません。
少しでも楽しんでいただけるよう頑張ったので、図々しいのですが、多目に見てやってください!(泣)

普段あまり絡みのない侑士と財前の二人をこうも絡ませる日がくるとは…私の中の新境地を開拓した気分です(笑)


それでは、これからもP-Rをよろしくお願いしますm(_ _)m

※ご本人様以外、お持ち帰りはご遠慮ください。


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