──俺のパズルは、きっと完成しない。 「昨日さ、弟とパズルしたんだけど」 「うん」 「ふと、人生がパズルの完成した絵でそのピースは幸せの数だとしたら、死ぬまでに俺のパズルはどれだけ埋まってるんだろうって思った」 「幸せの数って決まっとらんの?」 「見逃した幸せとか、もう既にたくさんある気がするし」 「まあ、そうじゃろうな(俺の然り気無い優しさもスルーしとるけんのう) ……ブンちゃんは自分のパズル、どうなると思う?」 いつも聞いてるのか聞いてないのか分からない仁王が、珍しく俺の話に興味を持ったらしい。 大体『うん』とか『それで?』とか、適当に流すから大概会話なんてすぐ途切れてしまう。 こんなに意味のない会話が続くのなんて、何時ぶりだろう。 「多分、完成しない」 「やっぱ見逃した幸せ分は埋まりきらんのか?」 「それもあるけど、もしその見逃した分も埋まるくらい俺に幸運が降り注いでも、やっぱり最後の一個は埋まらないと思う」 一番強く願ってる幸せは、何で一番遠くにあるんだろう。 どれだけ金持ちになったって、どれだけ人気者になったって、俺には最後のピースが埋まる確信はない。 最後の幸せが何なのか、仁王には教えてやらないけど。 「その最後の一個、俺が埋めちゃろうか?」 「え?」 「お前さんと同じようにたくさん幸せになっても、死ぬまでに最後の一個が埋まる気がしないナリ」 「え、え?」 俺の頭に手を置いて、ちょっとだけ撫でられた。 いきなりそんなことをされて、驚くことしかできなかった。 仁王の手のせいで必然的に顔が下を向くので、今仁王がどんな顔をしてるのか分かんないけど、何となく見る気はしなかった。 「なぁ…俺が死ぬまで、友達でおってくれる?」 「仁王…」 「こんなんじゃから、友達が少なくて頼れる奴もおらんかった俺に真っ先に声かけてくれたこと、今でも忘れとらん」 「俺だって、話しかけた時に泣きそうな顔してたお前のこと、忘れてねぇよ」 「嬉しかった…すごく。ブンちゃんは、俺の最初の親友なんじゃ。だから、」 「バーカ。言われなくてもそのつもりだっての!」 感極まって思わず抱きついてしまった。 仁王も、素直に受け入れてくれた。 でも仁王。 俺はお前と死ぬまで友達でいたいって思わない。 俺が仁王に抱いてる感情はそんなキレイなものじゃないんだ。 だから多分、お前のパズルは完成しても、俺のパズルは完成しない。 (死ぬまで、傍にいて。死ぬまで俺を好きでいてくれよぃ…) 声にならない叫びが、心の中で何度も響いた。 120823 やまめさん、リクエストありがとうございました! お題をいただけたのに、そんなに活かせてない&まとまってなくて…すみません。すみません。 ブンちゃんが仁王くんに片想い、かと思いきやこの後、高校が離れ離れになって仁王もより気持ちが強くなり、ブンちゃんに愛の告白→ニオブン。 っていう、設定も入れたかったのですが、長すぎるのでちょっと不思議なところで終わらせてしまいました。 続きの部分もいつか書けたら書こうと思います^^ それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました! ※お持ち帰りはご本人様のみとなります。 |