今日は忍足さんが休みらしく、予定とは違った人と筋トレのペアを組むことになった。



「よろしく、鳳くん」

「はい、よろしくお願いします!」

本当は忍足さんと俺がペアだったけど、誰とするか宍戸さんと話していたら、いいところに幸村さんが来たので一緒にすることになった。正直、あんまり話したことないけど宍戸さんや跡部さんと会話している様子を見ていたら悪い人ではなさそうだ。
内心、あの立海の部長だからもっと怖い人かと思っていたけど、話してみた感じもそうでもないみたい。


「氷帝、もう慣れました?」

「うん、結構迷わなくなったかな」

「それならよかった。ここ広いんで、一度迷ったらパニックになりますよね」


他愛もない会話をしながらいつも通りのメニューを順にこなしていく。

幸村さんって、怖いどころか寧ろ優しくて良い人かも…

そ益々んな期待を膨らませながらゆっくり幸村さんの背中を押していたら後ろで誰かが言い合っている声が聞こえてきた。

その声に気付いたのは俺だけじゃなかったらしく、幸村さんと筋トレを中断して音をたてないようにこっそり言い合いが繰り広げられている場所へ行ってみた。


『そんな理由で休むなんざ許さねぇぞ』


あれ…?
この声としゃべり方は紛れもなく跡部さん。
じゃあもう一人は…


『堪忍な。せやかて今こうして跡部と顔が合わせとるんも辛いんや』


俺と幸村さんは同じタイミングで顔を見合わせた。
休みなんじゃなかったのかあの人…てか心なしか幸村さんから黒いオーラが出ている気がする。

…嫌な予感。



『てめぇ、俺様を目の前にしてよくそんなこと言えるな。
ふざけんじゃねぇ、部活出ろ』

『嫌や、幸村と会いたないねん…!』


俺の嫌な予感は的中したらしい。
そこからは目にも止まらぬ速さで幸村さん(黒いオーラ全開)が忍足さんを蹴り飛ばして更に殴りかかろうとしていた所を跡部さんが必死に止めるけど、やっぱり幸村さん(黒いオーラ全開)には敵わなかったらしく跡部さんの努力も虚しく忍足さんが派手に一発殴られた。

気が済んだらしい幸村さんは俺の方に戻ってきたときにはもういつも通りの優しい雰囲気の彼だった。

短時間にとてつもなく非現実的とも言える出来事が起こったので未だに信じられない。

忍足さんが宙に浮いた。


「…鳳くん」

「はい」

「後で忍足にプレゼントは宍戸と買いに行くって、伝えておいてもらえるかな」

「分かりました」


全て肯定しておかないと自分の命が危うい気がしたので、とりあえず頷いておいた。そんなことより幸村さん、宍戸さんと買い物するんですね…羨ましいなあ。







結局はそこ。


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