どうしても1人でいたいときって、誰にでもあると思う。

俺はそれが今。なう。

だからこうして使われていない教室にいる訳で。


何故こんな気分になったかというと、話せば長くなる。それでも聞いてくれる方はこのままお進みください。
















…いいんですか?じゃあ始めますね。

遡ること1時間前、昼休みが始まった頃に幸村から電話が入った。(奇跡的に番号ゲットできたんや!)

内容はこうだった。


『今度跡部へお世話になってるお礼にプレゼント送りたいんだけど付き合ってくれない?跡部のことよく知ってるの、忍足だろ?』

『お、おん!行く、めっちゃ付き合う!』

『そうと決まれば次の土曜にこっちおいでよ。…あ、授業始まるから切るよ。詳しくは今日の部活でね』

『ちょ…』



と、こんな流れで幸村との初デートが決まったのだ。

俺はものすごく嬉しくて、嬉しすぎて跡部に報告しようと、A組に走ったが、ふと幸村の言葉を思い出した。

…えっと、幸村が跡部にプレゼントってことは少しからず好意があるってことで良いのかな?


そこから俺のテンションは急降下し、A組の方へ向いていた体は自然とこの使われていない教室へと方向転換。



こうして、今にいたるのであった。



何でや、


(何でこんな単純なことに気づかんと1人で喜んどったんや…!)



あぁ、もう無理だ。立ち直れそうにない。

立海からわざわざ氷帝に来るなんてどうしてそんな面倒なことをしているのかと、つくづく疑問に思ってはいたが、これで全て辻褄が合う。

しかし寄りによって跡部か…確かに幸村、跡部大好きやし。


「今日二人の顔、ちゃんと見れる気ぃせんわぁ」


はぁ…と溜め息を吐いたのと同時にチャイムが鳴る。もうええわ、サボる。


何を考えてても今はどうしても、幸村が頭の端にチラついて、次第に目の前が霞んでくる。

こんなに誰かを好きになったことなんて本当になかった。
これがきっと、初めての本気の恋だった。


俺の方に気持ちが向いてくれないことがこれほど悲しくて、切ないことだったなんてしらなかった。

(あかん…泣く…)


眼鏡を外して制服の袖で涙を拭おうとしたら、突然携帯が鳴り出した。しかも電話。


こんな時に誰からだ…と思いながらディスプレイを見たら、そこには「幸村」の文字。

慌てて通話ボタンを押したら…え、笑い声?


『やっぱり』


「…………」


『賭けだったんだけどまさか本当にサボってたなんてね』


「自分、授業中と違うんか」


『俺もサボり。何か忍足もサボってる気がしたから電話してみた。
…はは、まさか本当にサボってたなんて』


そんな風に笑われると、期待してしまうからやめてほしい。


どうしても諦められないくらいに膨らんでしまったこの気持ちを、どうしてくれようか。







「……好きやで」


『え…?』


ブチッ プー、プー……






諦めきれないから、せめて好きだと言わせてほしい。





じっとしてるなんて、俺らしくない





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