「おおお…!!」 これは一体何なんだ。 この目の前の謎の物体は何なんだ。 お菓子作りなんて、指で数えられる程しかやったことないのにいきなり当てずっぽうでやったのがいけなかったのかも… こんな訳の分からない黒い物体を、お菓子作りが得意な彼にあげようだなんて私は命知らずか…いや、アホだ。 「あー…本当、どうしよう。 このままじゃ、ブン太が死んじゃう…」 「俺、この年で死にたくねぇんだけど…」 「ブン太!?」 ずっと目の前の謎の物体とにらめっこをしていて、ブン太が来ていることにまったく気がつかなかった。 いくら私とブン太の仲だからと言って、勝手に人の家に上がるのはいかがなものか。くそビビった。心臓が口から出てくるかと思った。 「今日デート断られたから、まさかとは思ったけど…お前料理苦手だろい?」 「うん!」 「仕方ねぇから俺が天才的に作り方教えてやるよ」 「いいの?」 「寧ろ一緒に作りてぇし」 ほら、それ貸せよ。なんて私の手からボウルを取って中を見たブン太の顔が青ざめたのは言うまでもない。 ……ていうか、食べるのブン太だよね? 大切なのは君といることなんです。 120213 |