また今日も、校舎の屋上から見えるこの景色は変わらない。
変化していくことを嫌がったり、怖がったりする人間がいるけど、俺は変わらないことに何よりも恐怖を感じる。
「明日もきっと…いや、絶対ここからの眺めは変わらんばい」
「そりゃあ、明日ここに来て天地がひっくり返っとったらびっくりやで」
「そうやね…」
隣で同じ景色を見る彼は、俺の言っていることが分かっているのか謎だ。
案外、白石が侮れないってことも十分知っている。
だけど、こうしてよく話すようになってからは彼がかなり天然だということにも気づいた。
まあ、初めて出会った日から俺の心は白石にもっていかれてたけど。
しっかりしてる部長の白石も、ちょっと抜けてる白石も、俺は全部が好きだと思った。全部が愛しいと思った。
思いきって告白したらきっぱりと断られた。 理由は白石が俺のことをまだよく知らないから、らしい。
俺も多分、言うほど白石のことは知らないけどそれでも俺は、お前に惹かれたんだ。
「千歳って、いっつもそういうこと考えとるん?」
「たまに……ばってん、白石とおるときはお前んこつ考えてばっかとよ」
「ふーん。俺は千歳に告白されてから、千歳のこと知りたくて、仕方ないのになあ…」
「…は?」
「せやからな、別に千歳を好きな気持ちがゼロな訳とちゃうくて…どちらかと言えば…好き、です」 「……ほんと?」
「うん。でも…俺千歳のこと全然知らんから、そんなんで付き合ったりしたら、失礼かなって…」
恥ずかしさからか、白石は顔を伏せる。 触り心地の良さそうな髪の間から赤い耳がチラッと目に入った。
ああ──、どうしてこんなにも愛らしいんだろうか。
無理矢理引き寄せて、白石を腕の中におさめた。
「じゃあ、もっと知ってほしいばい。俺も、白石が誰よりも知りたい」
そう耳元で囁けば、更に小さく踞ってしまった彼が本当に本当に可愛くて、心臓が破裂しそうになった。
ここから見る景色も、白石となら違って見えるかもしれない。
120504
最初にぶわっときた千蔵と大分変わってしまった…
四天宝寺書いてないから書いちゃったっていうのも、あったり。
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