今の俺を例えるなら、まるで遠足が楽しみで眠れず、当日になって熱を出す小学生がぴったりだろう。
そう、自分の誕生日が楽しみ過ぎて眠れなくて俺は発熱しました。マジ馬鹿だろい。
ここ最近みんながコソコソしていたのでもうこれは、丸井様のバースデーパーティーを開いてくれるに違いないと、心を躍らせまくっていたのに……
クラスのみんなも明日のプレゼント楽しみにしとけよ!なんて言ってくれたのに、明日から土日だから月曜日に顔を合わせることになる。
誕生日ってさ…不思議なことに二日もすれば「おめでとう!」感が薄れるんだよな… 嬉しいことには変わりないけど、やっぱり当日にみんなから祝ってもらいたい。
月曜日、微妙な気持ちでみんなからお祝いの言葉をもらったり、プレゼントもらうなんて今からそんこと考えると憂鬱で仕方ない…
熱だから余計に今はポジティブになれないし。
(あー…みんな今ごろ部活か)
本当ならパーティーの予定だっただろうから部活しない→やったー!とか、赤也辺り喜んでそうなのに、俺が休んだばっかりに…次会ったとき怒られそうだ。
何か赤也のこと思い出したらみんなに会いたくなってきた。
よく考えたら会わない日の方が少ねえよなー
「……会いて」
「だろうと思って会いに来てやったよ」
「……、」
聞き慣れた声が突然したので驚いて何もしゃべれない。
首を横に向けたら、開いた部屋の扉をコンコンと叩いて入るよ、なんて言う制服姿の幸村くんがいた。
…もう入ってるよ幸村くん。
声を出そうとしたら幸村くんに続いて真田と柳も入ってきた。 え、何でお前らもいるの!?三強が揃いも揃って丸井家に来るとかどういうことだよ。そして何故ベッドに横たわる俺の真横に並んで正座して座るんだよ。しかもきっちり背の順か!
「誕生日に熱出すなんてどこの小学生じゃ、まったく…」
嫌味ったらしく言いながら、柳が座った後に入ってきた仁王は大きな白い袋を担いでいた。 いや、お前こそどこのサンタだよ。
「仁王くん、丸井くんは好んで発熱なさったのではないんですから、その様な言い方はどうかと思います」
眼鏡をくいっと上げて、サンタ仁王をいつもの紳士口調で注意しながら比呂士が大きな四角い箱を手に持って扉の前に立っていた。 よく見るその箱に嬉しさが込み上げて、さっきまで重かった体を起こしてしまった。ちょっと頭がグラッとしたけど今はそんなこと関係ない。
やっべ、これケーキだよな…!?
部屋に入った比呂士がパタンと扉を閉めた。
あれ?
「ジャッカルと赤也は…?」
「お前第一声それかよ」
「あだっ!」
パシンと幸村くんに頭を叩かれ、俺は意識を失った。
気がつけばもうすっかり日が暮れていて、熱も下がっていた。
そして俺の部屋は大惨事になっていた。
仁王が持ってきた、クラスのみんな分のプレゼントは全部開けられていて、その大半を占めていたお菓子はほとんど食べ尽くされていた。 残っていたのがガム一個って…
比呂士が持っていたケーキはさすがに食べきれなかったのか、半分以上ぐっちゃぐちゃの状態で机の上に放置されていたので後で食べようと思う。
でもまずは取り合えず、腹いっぱいになって床に雑魚寝してるコイツらを叩き起こさないとな。
俺が休んだ腹いせにこんな好き勝手やったんなら、今日くらい許してやろうかな。
120420
おまけ
「んで、ジャッカルと赤也は?」
「赤也もお前同様、誕生日が楽しみで眠れず熱を出したらしい」
「何であいつが!?」
「だから寝込んでる赤也の見舞いにジャッカルが行ったんじゃ。もうすぐ来るやろ」
「本当、赤也の馬鹿さはここまでくるとちょっと怖いよね」
「だな……謎過ぎる」
ちゃんと祝ってなくてすみません。 下手したら、ちゃんと祝わないこと前提に進めていた白石誕より祝ってないです…
タイトルは某仁王くんのクリスマスソングより。
何はともあれ
ブンちゃんお誕生日おめでとう!!! 大好きだああああ!!(勢いで終わる)
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