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何も言わずに俺についてくる樺地が可愛いと思った。 家庭的なことも、あんな無表情でやってのけてしまうアイツが、俺は可愛くて仕方がない。 「おい、樺地」 「ウス」 「今日の放課後、その…お前がよく行く店とかに、連れてけ!」 「ウス」 本格的に、俺が樺地への恋心に気がついたのは割と最近のことだった。だから今まであまり気に留めていなかった樺地の、俺と一緒にいないときの行動が気になってしょうがなくなってしまったのだ。 てな訳で、デートの口実も含めて樺地のよく行く店に二人で来てみた。 「こ、ここは…!?」 落ち着いた雰囲気の店内に季節に見合った飾り付け、見渡す限り俺たち以外女しかいない。 もしかしてここは… 「ウス、雑貨店…です…」 フッ………やられたぜ。 俺はてっきり牛丼屋に行くもんだとばかり思っていたから、My箸も持参してきたってのに…! 「さすが俺様の樺地だぜ…!よし、俺様のおごりだ。好きなだけ買ってこい!」 「いえ…いいんです。これだけで…十分です…」 「……っ!!!」 な、なんだってんだこの可愛い生き物は!! 動物の形をした置物を撫でて和む樺地を見て、うっかり俺様も和んでしまう。 「お前がそうしてぇんなら、俺も黙って見とこうじゃねぇの…あーん?」 「ウス」 先程まで樺地が撫でていた後を指でスッとなぞって微笑んだ。 なぞる (これ、こっそり買っておこう。) 120528 |