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たまたま廊下を走っていたら、たまたま校庭に財前を見つけた。 何やえらい機嫌良さそうしとったから気になってこっそり物陰から覗いてみたら、ワイの知らん女子と財前が校舎の陰に並んで仲良う話しとった。 笑顔で人と喋る財前に、心がくしゃっと丸まった紙くずみたいになった気がした。 (何で?なあ、何でそんな楽しそうにしとるん…?) ワイには、一度だってあんな笑顔見せたことないのに。 下からポタッと何かが落ちる音がした。音のした方へ目を向けるともう地面に水滴が染み込んでいた。 でも次から次へとポタポタ、止まることなく地面へ落ちては染み込んでゆく。 勝手に流れる涙に、どうしたら良いのかも分からず立ち尽くして、とにかく下を見続けていた。 結局、財前はワイに気づくこともなく、女子とどこかに行ってしまった。 遠くなっていく彼の背中を追いかける勇気なんてなかった。 だって二人とも、すごく幸せそうで、ワイには手の届かない、そんな存在に思えたから。 恋って、こんなに辛くてこんなに涙が出るもんなんやな。 泣く (君を想って、君の幸せが続くことを願って) |