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俺ばっかり、跡部に頼ってる気がして、ずっと不安だった。 寝ている間も隣にいてくれたり、たまに膝枕してくれたり。 俺が寝てたらつまらないからって起こしてくれたことも、一度もなかった。 だから黙って跡部が隣にいてくれることが、どんどん不安な気持ちを増幅させていった。 そして、遂に些細なことが原因でケンカをした。 100%俺が悪い。 だけどもう限界だったんだ。 もしかしたら俺って、跡部と同じくらいプライドが高いのかも。 もっと普段から素直に自分の気持ちを伝えておけばケンカして、意味もなく跡部を傷つけずに済んだのに… 『独り善がりの恋ほど、滑稽なものはないと思う』 多分、知らない女子が話していたこんな言葉を小耳にはさんだときから、俺の、跡部に対する不安は始まったんだ。 …怖いくらい、今の俺にあてはまると思ったから。 相手の気持ちも聞かないで甘えてばかりで、何で跡部は俺が好きなのかも、どこが良いのかも知らなくて。 「うぅ゛……おれ゛ぇ……」 「はいはい鼻水拭き?」 「侑ち゛ゃあーん!」 「ちょお!泣きながら抱きつくなアホ!……………あーあー、鼻水も涙もついてしもうた」 「ずびびっ、ごめん…でも本当に、不安で…」 跡部とケンカした俺はたまたま出くわした侑ちゃんに話を聞いてもらい、途中から号泣。今まで溜まっていた、色々な想いが爆発したような…そんな感覚だった。 「あんな、自分はいっつも寝とるから知らんのもしゃーないねんけど…」 ごそごそとポケットからケータイを取り出す。ちょっといじった後、画面を俺に見せてきた。 何コレ…? 跡部に寄りかかって寝てる俺…と、俺に寄りかかって寝てる跡部!? 「そないに驚かんでもって…無理ないか。たまにな、こうしてお互い支え合って寝とるんやで、自分ら」 「………知らなかったC」 「俺も初めて見た時可愛くて思わず写メってしもうてん。ま、撮っといて正解やったみたいだけど」 「侑ちゃん…」 「何や?」 「ありがと!」 言葉にならない嬉しさが心にわき上がったのと同時に、早く跡部に俺の気持ちを素直に全部伝えなくちゃって、思った。 なんだ、俺だけじゃ、俺の独り善がりじゃなかったんだ。 探していた彼の背中を見つけ、思いっきり抱きついた。 寄り添う (もっともっと、俺を求めてよ。) |