恋する動詞111題 | ナノ

34.戯れる(謙金)



白石と金ちゃんが追いかけっこをしているのを見たら、無性に悔しくなった。


俺では速すぎるので金ちゃんが本気になって行方不明になるからと、追いかけっこをさせてもらえないのに…

くっそ!白石!この変態部長が!!

俺だって愛しの金ちゃんと追いかけっこしたいわボケ!




「よし…こうなったらサボってでも追いかけっこしたる!愛の逃避行や!」



という訳で、俺は部活中に金ちゃんを半ば強引に拉致して近くの広い公園に連れてきた。


「なー、謙也ぁ。ここで何するん?」

「よっしゃあ金ちゃん!追いかけっこするでぇ!」

「ほんまに?わい、白石より謙也と追いかけっこしたかってん!」

か、かかわええ!!

何やこの可愛さ!ざまあみろ白石!
金ちゃんは俺を求めとったんや!

あぁ、普通に感激して涙でそう…いや、泣いとる場合と違うがな。
何ヶ月ぶりかの追いかけっこや!

「じゃあ金ちゃん、この公園の中だけで追いかけっこしような?」

「わかったー!」


「俺が先に逃げるから、金ちゃんは十秒数えてから追いかけてくるんやで!」

「いーち、にー、さーん」

「はや!」



金ちゃんの類い希なる運動神経に焦りながらも遊具を使って上手く逃げたり、木の影に隠れたり…楽しい時間はどんどん過ぎていった。


「はぁ、はぁ…金ちゃん、もうそろそろ戻ろか」

「はぁ…せやなぁ。わいもお腹減ってきたし!」

「今日、楽しかったか?」

「ごって楽しかったかでぇ!謙也、ありがとうな!」


ちゅ、と可愛らしいリップ音がしたと思ったら、金ちゃんが俺にちゅ、ちゅ、ちゅーを!!!


「きき金ちゃん、今のって…!」

「お礼のちゅー!好きな人にはちゅーするんやって、白石が言っとった」

「好きな人て、俺…?」

「?謙也が好きやからちゅーしたんやで?」

「ほんまに!?俺も金ちゃん好きなんやけど!」

「け、謙也…?」


あまりの嬉しさとパニックで思わず抱き締めてしまった。
俺のアホ!金ちゃんキョドっとるがな!

「めっちゃドキドキしとるん、わかる?」

「心臓、すごい早い」

「金ちゃんはドキドキせん?」

「ううん。ドキドキしとる…顔も、何や熱うなってきたわ」


それが好きっちゅーことやで、金ちゃん。



口から出そうになった言葉を飲み込んで、今度は俺から、彼の唇にキスをした。



戯れる

(ちょこん、と触れた二つの唇。)




120304



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