32.染める(82) | |
「仁王くん、あなたって人はまた悪戯をしたのですか?」 今日は部活が終わってから一緒に下校をするはずでした。 が、仁王くんがまた何かをやらかした様で部活後も特別メニューをするはめになってしまったのです。 しばらく校門の前で待っていたら、ようやく彼が現れました。 「ちょっとからかってやっただけじゃ。人聞きの悪い」 「それにしては、幸村くんのお仕置きメニューが多くはありません?」 いつもならコートの整備と球拾いだけですが、今日は何故か部室で反省文も追加でした。 「…ほんのちょっと赤也を引っかけるつもりだったんに、まさかあそこで幸村が来るとは」 「それは…致し方ありませんね」 がっくりと肩を落とす彼の姿に少し笑いながら、帰りましょうかと声をかけました。 しかし、何故か下を向いたまま顔を上げてはくれません。 …どうかされたのでしょうか。 「仁王く「やぎゅう、」 名前を呼ぶやいなや、急に抱きついてきたので倒れないよう支えると、とても小さな声で「好きじゃ」と囁きより強く抱き締めてきました。 「知ってます。そして、私も仁王くんが好きです」 その言葉を聞いて安心したのか、少々頷いてから離れて「すまん、帰るか」なんて笑って言うものですからそんな彼が可愛くて、今度はこちらから抱き締めました。 「あなたは時々、私の心臓に悪いことをしてくれますね」 「なんのことじゃ…」 「先程みたいにされるのは、とても破壊力があるんです」 「破壊力って何…んぅ、ちょっ…やぎゅ」 「私からもお返しです」 無防備な口元に唇を寄せ少々荒いキスを。 その真っ赤な顔、とても可愛らしいですよ。 染める (頬は真っ赤に。心は私の色に。) 120302 甘える仁王に弱い柳生 |