26.拗ねる(柳幸) | |
ことの発端は柳がクラスの女子と楽しそうに話していたことから始まった。 「俺なんかより女子と話してる方が楽しいんだろ?」 ついつい口から出てしまうのは嫌味ばかりで、自分のこういうところが彼を呆れさせているなんて、十分承知していた。 だってこんな時の柳の顔って、本当に分かりやすいから。 「俺みたいなひねくれた奴を相手にしてるより、可愛くて気の利いた子の方がお前には良いんだよね」 「精市、何故いつもそうやって自分の考えでしか物が言えないんだ。いつ俺がそんなことを言ったんだ」 「…もういい。ほっといてくれ」 本当は、そんなことを言われたいわけでも、言いたいわけでもない。 お前が一番好きなんだ。 ただ、そんな一言が柳からほしいだけ。 それだけなんだよ。 拗ねる(すねる) (何一つ、素直に伝えることができない) 120209 |