恋する動詞111題 | ナノ

23.弄ぶ(仁赤+幸村)





「また浮気したんだって?」



明らかに怒気を含んだ幸村の声。
これはかなりご立腹のようだ。




「なんじゃ、幸村には関係なかろう」


「赤也が可哀想だ。もう止めてやれよ」


「それって赤也が好きだから言っとるん?幸村、アイツんことになると妙に必死になりよるし」


「お前な、そんわけないだろ。赤也は可愛い後輩だ。
悲しい気持ちにさせたくないって思うのは先輩として当然。恋人なら尚更だ」


「俺が悪いっち言うとるん?」


「そうだよ」


立ち尽くす俺に冷たい視線を浴びせる幸村。
そんなに見られたら穴が空く。



「お前は知らないだろうけど赤也はいつも泣いてる。
お前が女と浮気する度に、男の自分じゃやっぱりダメなんだって泣いて泣いて、目を腫らして……
なぁ、お前何やってんの?」


胸ぐらを掴んでいつもより低い声にゾクッとした。


知っとるよ。全部知っとる。


俺の前では冗談を言うような笑顔で「また浮気っすかー?」って言ってるけど、その後こっそり泣きそうな顔をするのも。

見るに見かねた幸村が、いつも赤也を慰めてることも。



「赤也は俺のぜよ。俺が好きにアイツで遊んだってええじゃろ」



バキッ


左の頬に痛みを感じた。あぁ遂に殴られたのか。


「ふざけるな!赤也を、赤也を何だと思ってるんだ!
こんなお前でも好きでいてくれるんだぞ…っ、なのにお前は……」

「最低…?はっ、それもそうじゃ。

けどな、俺だって本気で人を好きになる。そいつの全てが知りたいとも思う。みんなが知らないような表情が知りたい。
俺はその為だったら何だってするぜよ」



目に涙を溜めた幸村から一瞬力が抜け、俺の胸ぐらを掴んでいた手がパッと離れた。


声にはならなかったが、俺には彼が何を言ったかハッキリとわかった。




『殺してやる』





その殺意に満ち溢れた顔も、俺だけが知っとればええんじゃ。








弄ぶ

(これも、貴方の全てを知るためなんだよ)





111222



仁王と赤也と幸村の三角関係。

まだ誰も見たことがないであろう、幸村の表情を自分が見たいが為に赤也を傷つけまくる仁王。



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