23.弄ぶ(仁赤+幸村) | |
「また浮気したんだって?」 明らかに怒気を含んだ幸村の声。 これはかなりご立腹のようだ。 「なんじゃ、幸村には関係なかろう」 「赤也が可哀想だ。もう止めてやれよ」 「それって赤也が好きだから言っとるん?幸村、アイツんことになると妙に必死になりよるし」 「お前な、そんわけないだろ。赤也は可愛い後輩だ。 悲しい気持ちにさせたくないって思うのは先輩として当然。恋人なら尚更だ」 「俺が悪いっち言うとるん?」 「そうだよ」 立ち尽くす俺に冷たい視線を浴びせる幸村。 そんなに見られたら穴が空く。 「お前は知らないだろうけど赤也はいつも泣いてる。 お前が女と浮気する度に、男の自分じゃやっぱりダメなんだって泣いて泣いて、目を腫らして…… なぁ、お前何やってんの?」 胸ぐらを掴んでいつもより低い声にゾクッとした。 知っとるよ。全部知っとる。 俺の前では冗談を言うような笑顔で「また浮気っすかー?」って言ってるけど、その後こっそり泣きそうな顔をするのも。 見るに見かねた幸村が、いつも赤也を慰めてることも。 「赤也は俺のぜよ。俺が好きにアイツで遊んだってええじゃろ」 バキッ 左の頬に痛みを感じた。あぁ遂に殴られたのか。 「ふざけるな!赤也を、赤也を何だと思ってるんだ! こんなお前でも好きでいてくれるんだぞ…っ、なのにお前は……」 「最低…?はっ、それもそうじゃ。 けどな、俺だって本気で人を好きになる。そいつの全てが知りたいとも思う。みんなが知らないような表情が知りたい。 俺はその為だったら何だってするぜよ」 目に涙を溜めた幸村から一瞬力が抜け、俺の胸ぐらを掴んでいた手がパッと離れた。 声にはならなかったが、俺には彼が何を言ったかハッキリとわかった。 『殺してやる』 その殺意に満ち溢れた顔も、俺だけが知っとればええんじゃ。 弄ぶ (これも、貴方の全てを知るためなんだよ) 111222 仁王と赤也と幸村の三角関係。 まだ誰も見たことがないであろう、幸村の表情を自分が見たいが為に赤也を傷つけまくる仁王。 |