18.触れる(侑謙) | |
「…やっぱ東京ってすごいな」 「せや。俺も初めは慣れんかったでぇ〜ご近所付き合いも大変や」 全国大会のため東京にやってきた謙也を案内してやっている。 何にでも驚く謙也の反応が可愛くて仕方ない。 しかもこうして会うのは半年ぶりだ。 「おばさん等元気しとる?」 「あぁうちのオカンなんか、侑士侑士うるさいわ」 「そうなん……お前は?」 「は?」 「お前は侑士侑士うるさくないん?」 「ばっ…んな訳あるかい!///」 「図星なんか」 「ちゃう!ちゃうからな!」 「じゃあ明日白石くんに聞いてみよー」 「白石はやめろ!アカン!!」 「素直に認めたらどうや謙 也 く ん」 「うっざい!東京かぶれめっちゃうっざい!」 「そんな東京かぶれに惚れたんはどこのどいつや」 顔を真っ赤にしながらギャーギャー騒ぐ恋人を前に、冷静で居られる訳ないやん? いちいち可愛い反応してくれる謙也を、ついつい苛めたなんねん。 「はいはい悪かったな!こんな伊達眼鏡に惚れてもうて」 「ま、良えわ。 せっかく来たんやし、楽しまなな…ほら」 「…へ?」 「誰かさんが迷子にならんように手ぇ繋いであげます言うとるんや」 「アホか!もうそんなガキとちゃうわ!」 「あーはいはい。じゃあとりあえず久々やしこれぐらいはさせてぇな」 未だに顔を真っ赤にして俯いている謙也の腕を引いて、抱き締めた。 「なななな、何を…」 「恋人抱き締めて何が不思議なん?」 「…ほんま、アホすぎるっちゅー話や」 口ではそう言っていたけど、彼の腕もしっかりと俺の背中に回されていた。 触れる (どろどろに混ざってしまいたい) 111129 |