14.別れる(三強→赤也) | |
「先輩、ご卒業おめでとうございます!!」 「ありがとう、赤也」 「うむ。お前がこれからは立海大テニス部を支えていく立場にある。 気を抜かずに頑張るのだぞ」 「自分の長所を見つけることも時には大事だ。お前は短所を気にし過ぎている部分があるからな」 「はい!俺、先輩たちに負けないくらい強い立海を創っていきます」 まだ少し風が強い三月。 俺が大好きな先輩たちが、卒業していく。 校門の前で卒業生たちが別れを惜しんでいる中、俺たちはその集団から少し離れたところにいた。 「本当に、いろいろありましたね」 「あぁ…俺もなかなか貴重な体験ができたと思っているよ」 「確かに、俺も幸村が病に倒れたことで、今までお前がどれだけ苦労していたか身をもって知ることができたしな」 「しかし、赤也の存在が俺たちの成長に繋がったのも、確かな事実だ」 「え、俺っすか!?」 全く知らなかった驚愕の事実なんですけど。 「あぁ、お前が思っている以上に俺たちはお前のおかげで随分と成長したよ」 「全然そんな風には見えなかったっす!」 「それも仕方ないだろうな。 精市はいじめる事で、相手の心に印象付け頭の中を自分のことだけしか考えられなくなるよう、事あるごとにいじめていたからな。 俺なんかどんな風に赤也を落とすか研究に研究を重ねた」 「え?え? 話しの方向が全く分かんないんすけど。 あれ、おかしいな。英語じゃないのに全くわかんない」 「俺は仁王に教えてもらった…ええすえむとやらをしていたぞ」 「待って下さい副部長! じゃあ、あんなに俺を殴ってたのってまさか……」 「えすえむなのだろう?」 くっそぉぉぉあの詐欺師!!!! 二年間俺を無駄に傷めつけやがって畜生!先輩じゃなかったら即座に潰してるぞ! 「副部長、それは同意の上でやるんすよ! しかも俺が痛いこと好きだなんていつ言ったんすか!」 「あぁ、そういえばそうだな」 そういえばじゃないよこの老け顔め! 「落ち着いてよ赤也。もう過ぎたことだし、愛ある暴力だったんだから」 「いや愛ある暴力って何すか…」 「で、赤也。結局は誰が好きなんだ?」 誰にも好きだなんて言ったことないんですけど!! 「ふふふ、もちろん俺だよね」 「何を言うか幸村。俺だ」 「赤也が俺を選ぶ確率100%だ」 「え…ちょっと」 迫り来る三人から逃れるように後ずさっていたら、俺の視界にある人物が写った。 「おおお俺は!あの人が好きです!」 勢いに任せて、その人を指差した。 「え、俺かよ!?」 「「「……ジャッカル!!?」」」 三人があまりの意外さに驚いている間に、俺は柳生先輩の元に逃げた。 その後、仁王先輩から聞いた話によると何の罪もない通りすがりのジャッカル先輩は三強から責められまくったとか…そうじゃないとか… 最後までお世話になりました。ジャッカル先輩! 別れる (それでも忘れられない君のシルエット) 111116 |