6.願う(千蔵) | |
俺は千歳が嫌いだ。 部活にも来ないし、来てもちゃんと練習しないし。 注意したって反省の色なんて、見せやしない。 そんな千歳が大嫌いだ。 『俺も、白石のこと好きじゃなかよ』 我慢できなくなって千歳に、俺お前んこと嫌いや、と言ったあの時。 千歳に嫌いと言われたあの時。 何故かその言葉に胸がチクッとした。 わからないけど、痛くて。 痛くて仕方なくて。 『俺んこつ嫌いって顔に書いてあると。 なのに、俺に構ってくる白石が嫌いっちゃ』 『……』 『嫌いなら、ほっとけば良かと』 なにも言い返せなかった。 傷む心臓が喉元をつっかえさせた。 わからない。なんで、 なんでこんなに 『痛い、千歳…心臓が、痛いっ……』 痛くて痛くて仕方なくて、何故か涙まで溢れて。 千歳が目の前にいるのもお構いなしに泣いた。 『ばってん、今みたいに素直な白石は好き』 『…へ?』 俺の顎を持ち、上にあげ涙の止まらない目に、嫌いな彼がキスを落とした。 『心臓、痛か理由…教えるちゃる』 耳元でそう囁いた彼のその言葉の先が、俺がたった今気づいた答えと同じであることを願った。 願う (君にしか叶えられない僕の願い) 111019 関西弁も熊本弁も明るくなくて…本当に現地の方々すみません。 |