恋する動詞111題 | ナノ

81.振り回す(ジャ幸)




「ジャッカルー!」


朝礼が終わってからすぐ、俺のクラスに元気の良い幸村の声が響き渡った。


もうこれは日課になっているので、他の奴らも元気な幸村を見て微笑んでいる始末。

…まあ入する前と比べても、格段に今の方が幸村自身も明るくなった気もするし。



「どうしたんだよ、幸村」


大体予想はついてるけど、とりあえず聞いておく。
万が一、予想が外れたら怖いからな…


「昼休みにメロンパン食べたいからよろしく」

「あぁ、メロンパンな」


やっぱり…なんとなく今日はメロンパンな気がした。

あれ結構人気だから、走っていかなきゃ間に合わねぇかも。
まあ幸村のためだし、頑張るけど。


「あとね、屋上で食べたいからあんまり日が当たらない場所、取っといてほしいんだ」

「わかった、とっとくな」

「あと…」


ちょっと恥ずかしそうに俯いている幸村を不思議に思い、顔を覗き込んでみたら、少しだけ頬っぺたに赤みが差してた。

それがちょっと可愛くて、ドキッとする。



「まだ、何かあるのか?」


「あのさ、食べるときは二人きりがいいな…なんて」



チラッと俺を見てから恥ずかしさが振りきれてしまったのか、猛ダッシュで教室を去ってしまった。

…いつも一緒に昼飯を食べているブン太に、なんて言って断ろうか。


頭の中でそればかりを考え、ニヤけてしまう前に嬉しさを誤魔化した。




振り回す

(好きだから、独占したくてそうするんだ)


120822


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