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「亮もさ、なんか他にもっとあっただろ…」 「いや…クラスの女子にゴリ推しされて…岳人も喜ぶだろうからって」 たまたま亮のクラスの近くを通ったから入ってみたら、女子がキャーキャー言いながら誰かを囲んでいた。 あまりにも一部に固まりすぎてたから、気になって思わず凝視していたら、囲まれていた女子が何故か物凄いスピードで俺の手を取り、あっという間に屋上まで連れてこられた。 まあ、その女子が亮だったんたけど。 顔を真っ赤にして俺の目の前にいる恋人は、どうやら文化祭でやるクラスの催し物のコスプレ喫茶で男子は女装に決定したらしい。 だからって、亮のクラスの女子本気出し過ぎだろ… 今の彼はどこからどうみても女子生徒。 以前長髪だったのでウィッグも違和感ないし、何よりメイクのお陰でつり目も抑え気味だし……まあなんと言うか、可愛い。 俺もまだ少しビックリしてて、今初めてじっくり見たけど、文句なしで可愛い。亮、お前やれば出来るんだな。 「気持ち悪ぃだろ、俺……もう激ダサのレベルじゃねぇ……」 「いや、んなことねぇよ。ねぇけどさ、」 まだ恥ずかしそうにしている彼の姿に、何だかこちらも顔が熱くなる。 「…やっぱ嫌か?こんなの」 「嫌じゃなくて、良すぎて誰にも見せたくねぇんだよ…っ!」 「良すぎて!?良すぎてって、お前目、大丈夫か!」 「そんな必死に否定すんな、俺が可愛いっつってんだから可愛いんだよ!」 「かわっ…!?」 俺の可愛い発言に今度こそ沸点を越えた亮がヘタリと床に座り込んだ。 慌てて俺もしゃがんで、亮の目線に合わせる。 「おい、こっち向けよ」 「やだ…」 「たく、仕方ねぇな」 俯く亮の顎に指を添えて上に向けさせ、ちゅっとキスをする。 「ななな、なんだよっ、いきなり!」 「思わずキスしたくなるほど可愛いんだよ。信じろ、バカ」 まだ顔を赤くしている彼を抱き締めて、このまま俺だけがこんな可愛い亮を堪能できたらいいのに、なんて思った。 秘める (可愛い君は俺だけが知っていればいい) 120817 |