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「柳先輩!今日こそ俺の告白、聞いてもらいますからね!」 「断る」 「でもそんなの俺は気にしませんから!」 部室の隅へジリジリと柳先輩を追い詰めていく。 俺は立海に入学してからずっと先輩が好きだった。まあ、その…一目惚れ。 好きすぎて、もうこれは告白するしかないと何度も挑戦したが、勘の鋭い先輩は俺がいざ告白しようとするといつもどこかへ逃げてしまう。 「告白聞いてもらうだけでも良いんで!返事はいいえでも、俺しつこく付きまとったりしないッスから」 「…いや、告白自体ちょっとな」 「そんなに俺から告白されるのが嫌なんスか?」 「それはっ」 いつもみたいにハッキリと喋らない先輩に苛立って、無理矢理襟を掴んでグッと俺の方へ引き寄せる。 そしてそのまま、キスをした。 「…俺、こんくらい真剣に柳先輩のことが好きッス」 やってしまった、という後悔から俯く。 こんなことしたら余計に嫌われちまうだろうが、俺の馬鹿! 「……、やめてくれない…か」 「先輩?」 弱々しく言葉を漏らした先輩を不思議に思い、顔を上げるとそこには顔が赤くなっている先輩がいた。 「そういう風に好きだと言われると、調子が狂う」 チラッと俺を見た柳先輩が可愛くて、思わずぎゅうっと抱き締めてしまった。 「好き、好きです」 「……………俺もだ」 弱々しい返事だったけど、俺はちゃんとその声を耳で拾った。 手に入れる (大好きなあなたを俺のものに) 120814 |