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「ブン太?」 「お、ジャッカル」 「ボーッとしてたけど、どうかしたのか?」 「いや…何でもねぇよ」 俺がどんだけ表に出さないでおこうと頑張っても、ジャッカルにだけはバレちまう。 それはコンビ組んでたからとか、そんなんじゃなくてきっとジャッカルがそういう奴だから。 そう、ジャッカルは底抜けに優しいんだ。 だからみんな優しいジャッカルをパシったりするけど、俺はそれがちょっと嫌だったりする。 「何か気になるなら言えよ?俺で良ければ聞くからさ」 「ありがとな」 見てるこっちが気持ち良いくらいの顔で笑うジャッカルに、俺も笑顔になる。 「やっぱブン太には笑顔が似合うな」 「な!そんなまじまじと言うなよい!照れんだろ…っ」 隣にいるジャッカルをどついて、赤くなった顔を隠す。 照れ隠しに好きな奴をどつくのはどうかと思うけど、俺はジャッカルみたいに優しくはないから、今はそれが精一杯なんだ。 ふぅ、と静かに深呼吸をして落ち着けと自分に言い聞かせる。 お前が俺を気にしてくれる度に、高鳴ってしまうこの鼓動を、どうしようか。 失う (もう取り戻せない平常心) 120731 |