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「…………」 「…………」 …何でこんなに見つめられてるんだ俺は。 身長が俺より幾分か低い岳人が俺を見るときは必然的に上目遣いというやつになる訳で。 女子にそれをされると異常にうっとおしいと思うのに、岳人にされたらすっげー可愛く思えるのは俺が岳人をそれほど好きなんだと言うことなんだろうか。 「…宍戸」 「…何だよ」 「ん」 「っ…、」 ん、って何の鳴き声だよ可愛いなちくしょう…の"しょ"辺りで、俺の心臓は止まりそうになった。 岳人が、自分から、抱きついてくるなんて…… (初めてだ…っ) まだぎゅううっと俺に抱きつく岳人にとりあえず腕を回してみる。 どうしたんだ。 こんなこと、自分からしてくるなんてよっぽどのことがないとあり得ない。(めちゃくちゃ嬉しいけど) 普段は俺が割かし岳人を抱き締めたりキスしたりしてるから、本当に珍しいというか…なんというか。 「岳人?」 「おれ、今まで宍戸にこういうこと、したことなかったなぁって思って」 「まぁ……そうだな」 「恥ずかしくてなかなか出来なかったけど、もし俺が宍戸から求められなかったらって想像したら、すっごい不安になって、悲しかった」 声のトーンはそのままで淡々と話す時の岳人は、本当に真剣な気持ちを言う時。 こんな癖とか知ってなかったら確実に疑ってるよな。なんて思いながら、緩む頬をグッと堪える。 顔が見えないからといってニヤけるのは抑えろ、俺。 ぶっちゃけ俺はいつも求めてる方だからあんまり不安になったことはない。だけど、岳人が実はここまで俺のことを考えてくれてたんだと思ったら、愛しさが湧いてくる。 あー…、ダメだ。 俺本当にコイツが好きで、好きすぎて仕方ない。 「岳人が不安になるなら、いくらでも甘えてくりゃあいいだろ。俺がお前を求めないことなんて、ねぇから」 安心しろ、と言った後から岳人は何も言わなかったけど、俺の背に回していた腕をまたぎゅううっと強く抱き締めた。 甘える (好きなだけ、俺を求めろよ) 120727 |