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「けーんーやーくんっ」 「おぉ、小春か。どないしたん?」 爽やかな笑顔で答えてくれた彼、忍足謙也。 彼はウチのお気に入り。 「今度部活でやる、お笑いテニスダブルス編の講習会のことなんやけど〜…」 「あぁ、あれ来週やったな」 「ちょおっと、ウチとユウくんのダブルスだけじゃ大変やから、誰でもええから謙也くんダブルスで出てくれへんかなぁ」 「俺なんかでええんか?もっと他におるんやないの?」 「謙也くんダブルス得意やし、何の問題もあらへんよ?な、せやから!」 「あー…まあ困っとるみたいやし、よし。引き受けたる!」 「きゃー!それでこそ浪速のオ・ト・コ!」 「そうと決まれば早速相方探しに行ってくるわ!」 「おおきに〜!」 物凄い早さで部室まで走っていった謙也くんの姿に、思わず顔が綻ぶ。 彼を見ていたらいつも元気がもらえる。 「謙也くんは、ちょっと他の子とは違うんよねぇ…」 多分、これが恋なんだと思う。 「…そっち行ったでぇ、財前!」 「くらえ!スペシャルぜんざいショット!」 「何やねん、その技!」 「ボールがぜんざいに見えてまう技ッスわ」 「いや、そないに堂々と言われても全くぜんざいに見えへんかったんやけど」 「え?俺には見えましたけど、ぜんざい」 「お前にしか効果ないやんけ!!」 どうやら、相方は財前くんに決まったらしく、頼んだ次の日から二人で練習している姿をよく見かける。 二人が仲良く練習している姿を見ていると、微笑ましい反面、心の奥がジリジリと焦げるようだ。 (こんな風に、嫉妬するくらいなら頼まんかったら良かったわ…) 悔やむ (誰かのものになる前に、自分のものにしておかなくちゃ) 120723 |