▽幸仁






「痛いんだ」

「どこが」

「わかんない」

「…からかっとるん?」

「本当にわかんないの。身体はどこも怪我してないのに、痛い」

「あれじゃ、心が痛いんじゃ。何かショックなことでもあったんか?」

「うーん…真田の唾が俺にかかったことくらいしか」

「それがそんなに嫌だったか、自分でも気づいとらん内に、傷つくことがあったんじゃなかと」

「……何だろ、何かあったっけなあ」

「まあゆっくり考えて、それから心の傷、癒していけばええ」

「うん、そうだね。ありがとう仁王…」

「おう」

「仁王の分際で俺の頭をなでるなんで良い度胸だね」

「元気付けようとしたんになして!?」

「あ、今思い出した。
俺、柳生に抱き締められてるお前を見てから、なんか痛くなったんだ」

「な、んで…」

「何でって言われても…嫉妬?」

「嫉妬って、俺に?」

「バカ仁王。何で俺が柳生を好きな設定なの」

「普通はそう思うナリ」

「俺多分、仁王が好き」

「は…あ!?」

「好き。あいらぶゆー」

「いやいや、繰り返さんでええから!…は、あり得んやろ」

「何であり得ないの?」

「だって俺、幸村んことすき……あ」

「ふーん。俺が好きなの?その話詳しく聞かせてほしいなあ」

「や、やめんしゃい!近づくんはやめてくんしゃい!!」




120603






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